『前略…。』―青年社長・渡邉美樹が贈る30通の返信

『前略…。』―青年社長・渡邉美樹が贈る30通の返信
東洋経済新報社
渡邉美樹

読後の感想
ワタミの渡邉美樹さんが、質問に答えるという体裁で「起業」について語る内容です。読んでいると、人柄が伝わってくるような親身な言葉と、いままでコツコツと積み上げてきたのが分かる厳しさが同居しており、精神面の強さを伺わせます。経験に基づく記述が多く「一一、友人を部下にする」「二二、降格人事」などはもし自分ならどうする、と考えざるをえませんでした。こんな風に考えられる日が自分にも来るのだろうか、と自問自答しました。
ますますファンになりそうです。

印象的なくだり
FCの基本的な考え方は、「本部はモノ(ノウハウ)を出します。加盟店はカネと人を出してください」というものです。しかし、本当に儲かるノウハウがあるのなら、なぜ本部は自分たちでやらないのでしょうか。
考えられることは、
一、一刻も早く展開してマーケットを押さえたい。そのためのノウハウはあるが、急成長するための資金や人材が調達できない。
二、多くの人に事業機会を与えようという信念のもとにFC展開している。
三、本当はノウハウがない。
一や二なら問題はありません。しかし実際には、三のケースがほとんどです。そんなところに加盟したらたいへんなことになります。直営店が儲かっていない、加盟店が次々やめていく、二号店、三号店をやりたいというFCオーナーがいない、そんなFCには近づかないことです。
このほか、よいFCを見分けるにはどんなところに気をつけたらいいのかというと、まず、簡単に加盟できるFCは要注意です。
FCは本来、加盟店を厳選しなければサービスの質を一定水準に保つことができません。それに、儲かるFCは口コミなどで広く知れ渡っていて、希望者が殺到するものです。一般的には加盟しにくいFCほど、よいFCだということができます。
実際に加盟店を見て回ることも欠かせません。経営者から直接、売り上げや資金繰りなどの話を聞くのも参考になります。
本部では見学用に加盟店を紹介してくれますが、そうした店は儲かっている優良店に決まっています。そうでない店を探し、オーナーと話をしてみるとよいでしょう。
うまくいかないとき、どんな対応をしてくれるのか、社員の派遣はあるのか、などでFC本部の技術と誠実さがよくわかります(P033)。
当たり前のことを、当たり前にやっていても、当たり前の結果しか出ません。事業を成功させるということはたいへんなことです。起業には、異常なまでの思いいれと異常なまでの努力が必要ですが、成功させるということは、もっとたいへんなことなのです(P040)。

私自身は資格や経験はまったく問題にしませんし、むしろそれらに惑わされるのは危険だと考えています。会社が急成長する局面では、資格や経験を持った即戦力が必要になってきますから、ついつい前職における肩書きとか、キャリアとかにひかれて採用しがちですが、志が異なれば結局はたもとを分かつことになります(P064)。

(前略)、ワタミでは、サービス部門は半年たったら簡単にはバイト代が上がらないようにしています。つまり、もう辞めてもいいですよということです。もし、それ以上高い給料を欲しいのだったら、キッチンを経験した後、トレーナー、店長代行というように責任を求めていきます(P069)。

課長以上の採点は私がします。一応、部長から推薦はあるのですが、課長以上については今のところ一人ひとりの顔が見えていますから、評定会議で私自身が決めます。
部長以上については、全員がいるところでの合議の上、決定します。
こうした作業にはたいへん時間がかかりますが、評価は正しく行わなくては意味がありません。人間誰しも、悪い評価を下されることよりも、正しく評価されないことのほうが苦痛を感じるものです。働こうという気にならないものです。
人事とは、いかにいい人材を採用し、成長させ、ちゃんとした基準に従って評価し、どのようなかたちでインセンティブを与えるかということです。つまり採用、育成、評価、インセンティブ、この四つをどう組み立て、どう充実させるか、ということですが、ベースにあるのは信頼です。いかにシステムがしっかりしていても、ベースに信頼がなければ人事はうまくいきません。
社員を教育し、成長させることについては、私の中で最も優先順位が高い仕事のひとつだと考えています(P109)。

そもそも、無理な人脈づくりにどれほどの意味があるのでしょう(中略)。
そんな時、私は次のような内容の返事を書きます。
「お互いが必要とするときに出会うのが一番です。不自然なかたちでお目にかかっても、お互いになんのメリットもありません。いずれ良いタイミングでお目にかかりたいですね」(P.114)。

人間、信用されていないと思えば、どうやって裏切るかを考えるようになります。信用されていれば、どうやってその信用に応えようかと思うものです(P.153)。

「『前略…。』―青年社長・渡邉美樹が贈る30通の返信」への1件のフィードバック

  1. 一人起業成功術。

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