『獄中日記 塀の中に落ちた法務大臣の1160日』

『獄中日記 塀の中に落ちた法務大臣の1160日』
河井克行

読後の感想
元法務大臣の河井克行氏が収監されていたときの心情を綴った日記。
あおりには「史上初めて、法務大臣が受刑者に。」とあって、法務大臣としての視点とかあったりするのかなぁと思って読みました。
ただ、全体として確定した裁判に対しての態度は非常に悪く、決して好感の持てる印象は受けませんでした。
もちろん、全部がダメではなく、喜連川社会復帰促進センターでの受刑者としての振る舞いは、非常に読みごたえがあり、体験談としては興味深く読むことが出来ました。
繰り返しになりますが、既に公職選挙法違反(買収)で確定している事件についての軽視する姿勢が透けて見えました。
あおりに「法務大臣が受刑者に」とあるので、少なくとも確定判決は尊重する姿勢はほしかったところです。

印象的なくだり
この時の総理のご指示はまことに適切なるものであった。わが国ではあまり知られていないが、米国の政治を真に動かしているのは「キャピトルヒル」、すなわち連邦議会である。
日本の政治家はホワイトハウスや各省の高官とばかり会いたがるが、それはピントがずれている。たとえばホワイトハウスは自力で予算案を議会に提出することができないし、最高裁判事や大使の任命には議会での承認が不可欠だ。政権はその都度、議会に頭を下げなければならない。総理が仰るとおり、役人の前には「elected(選挙で選ばれた)の壁」が厳然と存在するのである(P.072)。

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著者について
河井克行(かわい・かつゆき)
1963年、広島県生まれ。慶應義塾大学卒業後、松下政経塾に入塾。広島県議を経て、96年、衆議院選挙に初当選(広島3区)。外務大臣政務官、自民党国防部会長、法務副大臣、自民党副幹事長、衆議院外務委員長、内閣総理大臣補佐官(外交担当)などを務める。当選7回。第2次安倍政権発足後だけで34回を数えるワシントンDC出張をはじめ、戦略的に重要な国々を駆け回り、安倍晋三内閣総理大臣の“密使”として首脳外交の下支えを行い、第4次安倍第2次改造内閣では法務大臣を務めた。