『トヨタの片づけ』

トヨタの片づけ

読後の感想
何もトヨタ式がとてもすばらしいわけではない。
ただ当たり前のことが習慣化されて守られており、
その守る方法がきちんと仕組み化されているだけである、とか
書いちゃうと身も蓋もないんだろうけど、まさにその通り。

5Sは、どんな職場でも仕事でも応用できる考え方です。
企業の大小、業界、職種は問いません。
「片づけができていない」という状況は、5Sでほぼ100%解消されます。
なぜなら、5Sは仕事そのものだからです。
「整理・整頓は、仕事とは別もの」ととらえている人も多いかもしれません。
「職場や机まわりをキレイにするのが整理・整頓だから、仕事の合間にやれば十分」と。

しかし、トヨタでは、5S、すなわち片づけは仕事の一部ととらえられています。
普段から習慣的にやるのが当たり前なのです(P.032)。

自分たちがやっていることの意味を再定義して、
合理的に守れるようにしておき、定義の意味が変われば
また再定義しなおして、合理的になるようにするという、
書くだけだと簡単だけど非常に難しいことを実践しています。

何よりトヨタ式の強いところは
継続的に実践できるところだよね、ほんと。

印象的なくだり

デスクで仕事をするうえでの鉄則は、「今日使うもの以外はデスクの上に出さない」ということ。明日、使う書類は必要ありませんし、文房具も今日使わないのであれば、定位置に収納しておくべきです。そして退社するときには、デスクの上には何も残っていない、というのが理想的な状態です」(P.039)。

ずきゅーん(胸を貫く音
き、今日から実践します。

「いるもの」と「いらないもの」を分けるということについて考えさせられる事例が
かつてのトヨタで起こりました。
あるとき、トヨタ系のディーラーに、「クルマを走らせていたらタイヤがパンクした」
という人がかけ込んできました。
これから遠方までどうしても出かけなければならない用事があり、
そのためにクルマを走らせていた。
だが、タイヤがパンクしてしまったために
クルマを動かせなくなったので、何とかしてほしいということでした。

しかし、そのディーラーには、取り替え可能なタイヤの在庫がたまたま切れていた。
このときディーラーの社員はどうしたでしょうか。

ディーラーの店舗の中には、新車が展示してあります。
その展示車のタイヤを抜き、クルマのタイヤ交換をしてあげたのです。

タイヤがパンクして困って飛び込んできた人は、
「そこまでやってくれるとは」と驚くとともに、感動して店をあとにしました。
それだけではなく、そのあとにディーラーを訪れた
来客者たちの反響も大きかったのです。
タイヤが1本外されている展示車を見ると、
誰しも不思議に思うのでしょう。
「なぜ、あと展示車にはタイヤが1本足りないのか」と
尋ねて事情を知り、そのディーラーのファンになる人が何人も出てきたのです。
(中略)
ディーラーの社員は「お客さまを最優先に考える」という
判断基準があったからこそ、このような対応をとることができたのです(P.065)。

ぱっと見、美談っぽいけど、ディーラーなんだから代車くらいあったろうに
と思うと、途端に色あせる物語。

私たちの身のまわりには、「いつか使うもの」があふれています。
「この資料は、いつか役立つかもしれない」
「この文房具は、いつか使うだろう」という思いから、
ついついため込んでしまいます。
(中略)
「いつか使うもの」に対しては、必ず「いつまでに使うか」を
問わなければなりません。つまり、期限をもうけるということです(P.071)。

期限を設けないといつまで経ってもなくならない。
自分で能動的に設けないといけないんだよなぁ。

「先入れ先出し」で整理する。
これは、同じものがあったとしたら、先に仕入れたほうを先に使うということ。
時間の経過とともにモノは劣化し、使いものにならなくなります。
だから、古いものから順番に使うようにするという考え方です(P.101)。

棚の管理の基本原則は「三定」
①定位置(モノの位置:モノをどこに置くか)
②定品(モノの種類:どんなモノを置くか)
③定量(モノの量:どのくらいモノを置くか)(P.189)。