読後の感想
不動産鑑定士が書いた不動産投資の本。
物件の基本から、税金や償却まで分かりやすく説明されていて、普通に勉強になりました。
自分の知らなかったこともあって、やっぱり奥が深いなと思います。
基本的なスタンスとしては、リスク重視型で、ローンを組まずに現金購入が基本だと勧めており、そのあたりも自分の感覚と合っていたので読みやすかったです。
特に、自分が弱い税金の分野が丁寧な記載で、本当に為になりました。
不動産投資で認められる必要経費には、次のようなものがあります。
土地・建物の固定資産税、都市計画税
修繕費(小さな修繕)
損害保険料(掛け捨てのもので、その年分のみ)
不動産会社へのPMフィー
(管理会社が委託している)建物の管理会社へ支払う管理費・修繕積立金
入居者募集のための宣伝広告費
減価償却費
借入金金利(元本は経費にならず、金利の部分のみ経費になる)
税務関係を税理士に依頼した部分のみ場合の費用
そのほかの雑費(掃除、消耗品代、交通費、通信費など)
減価償却費は、不動産を買ったときに1度に費用にしないで毎年少しずつ経費として計上するしくみです。
「建物だけが減価償却費の対象となり、土地は残念ながら対象外」です。
土地は建物と違って減価しないからです(P.041)。
理想の物件に巡りあって、希望価格に近い金額で購入でき、すぐに入居者も決まって、毎月の家賃もきちんと入り、入居者との関係・管理会社との関係も良好でなんの問題もない大家さんライフを送っていたとしても、「所有してから5年がすぎたら、売却も視野に入れておく」ようにしましょう。
投資用でも自宅用でも、不動産を所有する人にとっては5年がひと区切りになります。
なぜ5年なのでしょうか。
それは、購入した金額よりも高く売れて売却益が出た場合、物件を所有してから5年後を境にして税率がまったく違ってくるからです。
売却する年の1月1日現在での所有期間が5年以下の場合には、「短期譲渡所得として売却益の39%が税金」としてかかります。
それが5年を超えていると「長期譲渡所得になり、売却益にかかる税金も20%」になります。
5年を境に、かかる税金に倍の差が生じるのです。
どうせなら5年間は毎月入る賃料のうまみをたっぷりと享受しましょう。
そして5年経ったらそのまま所有し続けるもよし、購入金額よりも高く売れるなら売却するもよしといった選択を視野に入れておくと、より不動産投資が楽しくなります(P.105)。
いつか実践する日が来るのだろうか。
印象的なくだり
利回り計算のしかた
⑴表面利回り(グロス利回り):年間家賃÷不動産価格
⑵実質利回り(ネット利回り):(年間家賃-管理費などの経費)÷不動産価格
計算は表面利回りのほうが簡単なので、購入するときの判断基準として一般的に「利回り○%」といわれているのは、たいていは表面利回りのことです(P.035)。
これは自分も割と初期のほうに思った疑問でした。
まぁ感覚で計算しやすいのは大事ということですね。
REITは株式の一種なので、通常の株取引と同じようにREIT株が上がれば差益が生じます。
通常の株と少し違うのは「分配金」が多いということです。
分配金の利回りは2%から4%以上のものもあるので、かなりの高配当となります。
しかしREITは株の一種ですから、REITを運営している会社がつぶれる可能性もあります。
リーマンショックの影響で、2008年にニューシティ・レジデンス投資法人が資金繰りに行き詰まり、経営破たんした例もあります(P.046)。
リートって運営会社が不動産業を兼業していることも多くて
利益相反の可能性をはらんでいるのが怖いよね(独り言)
投資には建物の投資以外にもいろいろあります。
コインパーキングなどの駐車場経営、トランクルーム、貸コンテナ、コインロッカー投資というものあります。
どの投資にもいえることですが、絶対に確認しなくてはいけないのは、「その投資の実質利回りは何パーセントですか」ということです。
たとえば実質利回りが20%なら空室リスクを考えても5年超で元本が回収できます。
それ以降はすべて利益になるわけです。
これが、実質利回り7%で空室リスクが10%だとすると、資金の回収ができるころは、トランクルームもコンテナも古くなって使い物にならないかもしれません。
ここがすごく重要なのですが、最終的に元本も回収できずに、いらない資産だけが残る可能性もあるのです(P.088)。
空室をつくらないためには、「今の入居者にできるだけ長く入居してもらうこと」です。
そのためには入居者がいつまでも住んでいたい環境をつくってあげればいいのです。
入居者が不満に感じることというのは、大きく次の2点です。
①設備が老朽化している
②管理会社がクレームにすぐに対応してくれない
(中略)
「年に1度くらいは入居者にはがきを出して、現在困っていることはないか、管理会社の対応は適切かといったアンケートを実施するのが効果的」です。
もし管理会社がクレームに対応してくれないようだったら、そのことを管理会社に伝えて改善してもらいましょう。
アンケートのやり方として、入居者の誕生日を「入居申込書」で把握しておいて、バースデープレゼントとともに「満足度チェック表」を送るのもよいでしょう。
その際設備が老朽化している場合は、早めの交換も考える必要があります。
ほかにも、面白いサービスとしては「お掃除サービスを年に1回プレゼントする」ということをしている大家さんがいました。
1Kタイプは独身者が住む場合がほとんどですから、 お風呂やトイレ、台所などの水回りの掃除を無料でサービスしてあげるのです。
このサービスをすることで、部屋の状況把握と維持管理もできるのです(P.099)。
こういった王道の不動産投資の方法が書いてあるのは安心できます。
やれキャピタルなんとかとか、やれ競売をどうのこうのよりも信頼ができると思います。
そもそも賃貸人の気持ちにならないとね。
家賃を上げるにはどうしたらいいの?
部屋の内装を少しだけ豪華にする
①コンセントカバーでオシャレ感を出す
②照明器具を取り替えて明るく高級感を出す
③キッチンの水栓で清潔感を出す
キッチンの水栓であれば、1万円程度で「シングルレバー」に交換できます。
流し台や洗面台を高級なものに交換する必要はありませんが、水栓を新しいものに取り換えるだけで清潔感が増して見えます(P.102)。
選んではいけない 供給過剰地域にある不動産
物件のある地域の空室状況がどうなっているか調べる
「HOME’S不動産投資」のサイトにある「見える賃貸経営」のページを見ると、だいたいの空室率が分かります。
空室率の統計は総務省統計局「住宅・土地統計調査報告」を引用して掲載しています。
住宅・土地統計調査(5年ごと)は、わが国の住宅とそこに居住する世帯の居住状況・世帯の保有する土地などの実態を把握し、その現状と推移を明らかにする調査です。
ただし、データが5年ごとと古く(中略)、「全国平均と比べたり、エリア間での比較として使う」のがいいでしょう(P.143)。
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