『今日、ホームレスになった―13のサラリーマン転落人生』

今日、ホームレスになった―13のサラリーマン転落人生
新風舎
増田明利

読後の感想
ホームレスの聞き取り調査を独白風にまとめられたもの。結論や感想などほとんどなく独白だけで完結している印象でした。タイトルにもあるように元サラリーマンを中心に聴取しており、流れが「サラリーマン時代(主にバブル期)にはホームレスを見下してた→バブルはじける→離職→いまホームレス」と非常に単調。特に、家があったり妻もいたりする人もいて、それってホームレスなのか?と疑問を持ったりもしました。
聴取する人の偏りからか、「自業自得」感が若干漂って来たのは、別のホームレスに対する偏見を助長しないか不安です。
気がついた共通点は、家族が不仲、ということ。そこは身に沁みました。

印象的なくだり
「ホームレスで生きていたって何の希望もないでしょう?とにかく住所だけでも欲しいんだよ。まともな職について普通の生活をしていくには住所が必要なんだ。住所不定の人間なんて社会的信用はゼロだからね」(P.109)。

ところで、文章中筆者の言葉で「生活保護を求めて福祉事務所を訪ねたとしても、病気やケガで働けないわけではないから、「仕事を見つけてください」と言われて門前払いだろう」と書いてあるが、これは見事なミスリードな文章。聴取した人には、そのようなくだりは一切でてこないから。

原因不明

FDDで起動しようと起動ディスクを突っ込んでも、うんともすんとも言わない。biosでもないし、多分データでもない。FD起動なんてもう何年もやってないので(少なくともXPになってからしてない気がする)目処すら立たず。もうだめぽ。

Wisdom of crowds

タイトルは、集合知・集団の知恵の意。

昨日はマイミクシィのYさんと、そのお友達Nさん(実名にしてよいのかどうか迷ったので念のため仮名で)と会食@池袋。
経験に裏打ちされた考えは、空論とは違って少ないながらも多くのことが伝わってきました。
問題意識・目的意識がはっきりしていたので会話も濃厚なものになりました、多謝。
それから、本まで頂き嬉しかったです。

ワールドカフェのお話。ジム・ローンのお話。士官学校と幹部候補生のお話。iGoogleにおけるカウントダウンガジェットのお話。

↓過去の記事はこちら
https://fukudashigetaka.com/article/115871972.html

多くの言葉をおごっていただきました。

『プロフェッショナル進化論』田坂広志

個人的ライフハック

一つ目
朝雨が降っていて帰りには上がってる。
そんなとき「五割くらい」の確率で傘を忘れてきます…

というわけで、傘を忘れないようにする仕組みを考えてみました。

傘を忘れないためのライフハック
・傘を持って家を出た日は、左手の人差し指に指輪をすること。

多分見るたびに思い出すはずです。

二つ目
珍しく仕事でちょっぴり嫌なことがあったので、沈みがちになっていましたが、自らを奮い立たせるために方法を考えてみました。
以前、Yさんに「胸を張って歩いてみると落ち込むことが難しい」と伺ったことがあり、自分も実践してみました。
確かに元気よく歩くと(笑)気分もいいです(ちょっと恥ずかしいので、帰り道人通りの少ない道で)。
ただ胸を張って歩くだけではなく、もう一味、自分なりに味付けしてみました。

元気のないときに元気を出すためのライフハック
・iPodを聞きながら腕を振って胸を張って歩こう。
BGMのbpmはちょっと早めで。
Pet Shop Boysの「New York City boy」を強く推奨。

『行動経済学 経済は「感情」で動いている』

『行動経済学 経済は「感情」で動いている』
光文社
友野 典男

読後の感想
乱暴にまとめると、そもそも人間の行動は理屈に合わないのだけれど、それを理屈っぽく組み立てたような学問が行動経済学。
正確ではないにしろ、ざっくりと正しいという感じの印象でした。もちろん後付けの理由、との印象も否めず。
骨子としては、合理的な行動というのは思っている以上に取れていない、ということ。相手あってのこと、ということは、想像以上に行動に影響を与えているということ(つまり、相手をみて行動を決めている)。
新書ということもあってか、体系的な話ではなく(学問的に体系立っていない点を考慮しても)様々な事象を帰納的に推論した、という内容でした。若干強引な帰結な印象でもあるけど、大事なのは論理過程と結論ではなく、論理だっていること(見えること)なんだなぁ、と(笑
会話に使える小粋なエピソード満載なのでそれはそれで吉。

印象的なくだり
喫煙や飲酒などの習慣がなかなか止められないのは、行為時点とその結果が現れる時点とが時間的に大きく隔たっており、行為する時点では、長い間たった後にどんな結果が引き起こされるのかについて想像するのが難しいことが原因の一つである。したがって政策的に禁煙を推進するとしたら、喫煙はガンにかかる確率を上昇させると主張するより、ガンになった場合の悲惨さをアピールする方がキャンペーンとしては効果的であろう(P.073)。
企業は、その価格、賃金、利益などに関して決定をする時には、取引相手(従業員、顧客、賃借人等)がそれを公正であると判断するか否かを考慮して、すなわち公正を一つの制約条件として行動を決定しなければならない。したがって、企業はたとえ公的、法的な規制がない場合でも、単純に利潤追求的行動をすることはできない。短期には高い利潤が得られたとしても、不公正であるという悪評が立てば長期的には利潤を失うことになる。そのため自制的な行動が必要となる(P.168)。

(前略)、初期値の設定が人々の意思決定に影響を及ぼす原因は三通りあるという。
まず、公共政策に関する場合には、人々が、初期値は政策決定者(多くは政府)の「おすすめ」だと考え、それを良いこととみなすことである。
第二に、意思決定を行うには時間や労力というコストがかかるが、初期値を受け入れればコストが少ないからである。
(中略)第三に、初期値とは現状のことであり、それを放棄することは前章で述べたように損失とみなされ、損失を避けるために、初期値を選ぶことである。損失回避性が働くのである(P.187)。
人々は自分の決定が、シンプルな理由づけや物語によって正当化されるのを望んでいるように見える(P.213)。

評価形成自体は、利他的や公正さの表われであるとは考えることはできない。評判が利得増加につながることを理解しているための利己的行為である(P.297)。

(前略)制度や組織のありようによって異なるが、互酬人の存在が経済人の行動を変えさせたり、経済人が互酬人を経済人のように行動させる場合があることを意味する(P.300)。

処罰で低下するモラル
処罰とモラルの関係について興味深い実験がグニーズィとラスティチーニによって行われている。子供を預かるデイケア・センターでは約束の時間に親が子供を迎えにくることになっているが、遅刻者もしばしば見られる。彼らは、イスラエルのいくつかのデイケア・センターを選び、遅刻に対して遅刻時間に応じた少額の罰金を科すことにした。
通常の予測では、遅刻は減少するはずである。ところが、この制度の実施後にはかえって遅刻が増大してしまったのである。
(中略)グニーズィとラスティチーニは、罰金がない場合には、親は遅刻することに対して罪悪感を感じ、その感情が遅刻を防いでいたのであろう、ところが罰金が導入された後、「時間をお金で買う」という取引の一種と考えるようになり、やましさを感じずに遅刻ができるようになったのではないかと説明している。
罰金を科すことを止めた後でも、遅刻が以前の水準に戻らなかったのは、単に遅刻の価格がゼロになっただけと受け取ってしまうからである。つまり、制裁システムが導入されることで、社会規範やモラルによって規制されていた行動が市場での取引のように考えられてしまうのである(P.305)。

経済人は感情に左右されず、もっぱら勘定で動く人々である。経済人は市場は重視するが、私情や詩情には無縁である。金銭に触れるのは好きだが、人の琴線に触れることには興味がないような人々なのだ(P.325)。

(前略)厳密に間違っているよりは、大雑把に正しい方が役に立つ。止まっている時計は一日に二回厳密な時を指すが、一分進んでいる時計は一回も正確な時を刻まない。しかし、どちらが役に立つかは明らかだろう(P395)。