『今日、ホームレスになった―13のサラリーマン転落人生』

今日、ホームレスになった―13のサラリーマン転落人生
新風舎
増田明利

読後の感想
ホームレスの聞き取り調査を独白風にまとめられたもの。結論や感想などほとんどなく独白だけで完結している印象でした。タイトルにもあるように元サラリーマンを中心に聴取しており、流れが「サラリーマン時代(主にバブル期)にはホームレスを見下してた→バブルはじける→離職→いまホームレス」と非常に単調。特に、家があったり妻もいたりする人もいて、それってホームレスなのか?と疑問を持ったりもしました。
聴取する人の偏りからか、「自業自得」感が若干漂って来たのは、別のホームレスに対する偏見を助長しないか不安です。
気がついた共通点は、家族が不仲、ということ。そこは身に沁みました。

印象的なくだり
「ホームレスで生きていたって何の希望もないでしょう?とにかく住所だけでも欲しいんだよ。まともな職について普通の生活をしていくには住所が必要なんだ。住所不定の人間なんて社会的信用はゼロだからね」(P.109)。

ところで、文章中筆者の言葉で「生活保護を求めて福祉事務所を訪ねたとしても、病気やケガで働けないわけではないから、「仕事を見つけてください」と言われて門前払いだろう」と書いてあるが、これは見事なミスリードな文章。聴取した人には、そのようなくだりは一切でてこないから。