『20代で人生の年収は9割決まる』

20代で人生の年収は9割決まる
土井英司

読後の感想
土井さんは読書会でお目にかかったことがありますが、
一瞬で人の心をつかむ方だなぁと強く感じました。
名刺交換の際に、「○○にお勤めなんですね、最近××ですよね」と
幅広い知識もさすことながら、きちんと相手の強みをつかもうとする姿勢自体に
強い感動を覚えたのが印象的でした。
その土井さんの本。

タイトルが若干刺激的ではありますが、内容は非常に厳しい。
何も考えていない人に対しては、
後頭部を殴られたようなショックを受けるでしょう。

一言でいうと、若者に対してこれからのキャリアプランを問いただす本。

さらにさらっとではありますが、ブックガイドがきちんと書かれていました。
各章の終わりごとにまとめられている分量ではありますが、
全て読むとかなりの量になると思います。
土井さんの言う素直で伸びる人は、即買って読み始めましょう
(ちなみにうち5冊くらいは読了済みでした)。
ブックガイドは非常に素晴らしかったので後日別に書こうと思います。

余談ではありますが、アウトプット勉強会の記述が161ページにありました。
きちんと押さえていらっしゃるあたり、やっぱりただ者ではない。

印象的なくだり
わが社でも、転職組もあわせて、何百人と採用面接を重ねてきました。
「小さな会社なのにそれほど採用に手間をかけるのか?」
と思われるかもしれませんが、
小さい会社だからこそ、選りすぐりの人材がほしいのです。
面接の指針は、堀紘一さんに教えてもらった
「伸びるヤツかどうか見極めるポイント」で、言葉にしてみれば単純です。
「素直さと地頭力。これさえあれば、だいじょうぶだよ」(P.055)。

自己PRで企業が聞きたいのは、ありのままのあなたです。
自己PRが真実だと信じてもらうには、
自分が人生のイベントや他者に対してどう反応したかをアピールするとベスト。
「怒られたときどう対処したか」「不測の事態をどう切り抜けたか」。
出来事と反応をセットにすることで、説得力が増すのです(P.070)。

金になりそうな「色のある夢」を語れ
その会社で自分は何をしたいのか、夢を語ることは、悪いことではありません。
ただし夢には「金になりそうな夢」と「ただの夢」があります。
もちろん、語るべきは前者。
世間の人はあまり言わないかもしれませんが、
ビジネスパーソンとして、僕ははっきり書いておきます。
夢とお金は切り離してはいけないと。
「ただの夢」の多くは、提供者ではなく消費者としての夢です。
たとえばテーマパークが大好きで
「日本中に○○ランドをつくり、すてきなアトラクションを増やし、
たくさんの子どもたちに幸せな休日を過ごしてほしい」
というのは、聞こえはいいものの、一消費者としての「ただの夢」。
新しいテーマパークをつくる際は、
不動産業者もしくはゼネコン的な仕事が必要になります。
広大な土地を確保するブルドーザーのごとき行動力、
住民に根回ししてまわる気力、
町の有力者と腹を割って話せるまで酒を飲むような泥臭い体力も必要です。
それなのに語る夢が、「すてきなアトラクション」だの「幸せな休日」だのという
消費者目線の薄ぼんやりしたものでは、
「ほかの会社に入って、休みの日に子どもを連れてきてください」
と思われるのがオチです。
「旅行が好きなので、御社が今やっているような個性的なプランをたてるのが夢です」などと、
その会社がすでにやっていることの延長線上で語る夢はすべて、
消費者レベルの「ただの夢」です(P.081)。

あなたにも、納得できないことがあるでしょう。
気になってたまらないこと。
許せないこと。
こだわってしまうこと。
それがあなたの才能です(P.125)。

マネジャーの給与が高いのは、人の二倍働くからではないから。
人の二倍では、「足りない」というのが会社側の本音です。
自分の秘策を「誰でもできるもの」に仕組み化しておくこと。
再現性のあるノウハウを、たくさんの部下に再現させること。
これがマネジャーの給与が高い理由です。
自分が働いて成果を出せる量はせいぜい人の二倍、
死ぬほどがんばっても三倍です。
しかし、部下を使えば、何十倍にもできるはずです(P.195)。

知識になるくだり
厚生労働省は、公正な採用基準を守るために法規制をしています。企業側は志望者に対して、家族に関する情報をいっさい聞いてはならないというもの。家族に関することには、家族の職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産、家族構成などが含まれます(P.078)。