『結婚失格』

結婚失格
枡野浩一

読後の感想
これは書評なんだろうか?なんか違うな。
歌人の枡野浩一(しょっちゅう漢字を間違えられるそうな)さんの自叙伝的書評。
一ヶ月に一冊の本を評すると同時に、自分自身の離婚調停の流れを
同時進行していくという小説形式なのだが、
なんだかモヤモヤしたものが残りながら話は進んでいく。
登場人物の速水さん(枡野自身がモデル)は妻と離婚調停をしながら、
子供と会いたくてたまらない。
その為保育園まで行ったり、元妻(離婚前は妻)と険悪になる前のことを思い出して
感傷にふけったり、本を読んだり。

最後の最後のあとがきで、この心の中に残っていたモヤモヤの元がなんとなく分かった。
それはいわゆる速水さんの「諦めの悪さ」に対する歯痒さなんだろうなぁと思う。
普通の人ならとっくに諦めてしまうことでも速水さん(こと枡野さん)は諦めずに続ける。
周りからどう思われても続けようとする。
間違った道を愚直に進むぜんまい式のおもちゃのように進み続ける。

速水さんが諦めないのは子供や奥さんのことだけだったら、
単なる未練がましい男なのだが、そうではなく「全てに対して諦めが悪い」のだ。

そういったさまを見て、歯痒さを感じるのと同時に、
自分にもこういう部分ってあるよなぁと省みる姿勢もまた
自分に対して歯痒さを感じるのです。それがモヤモヤ。
みんな思春期の頃に持っていたけどどこかで置いてきた感情を
投影しているのかなぁと思いました。

追記
ご本人のお話とお姿を生で拝見する機会に恵まれたのですが
見るからに諦めの悪そうな方でした(褒めてます

お言葉を引用しようと思ったのですが
ご本人が「引用するなら正確に引用してほしい」との
意思を明確に示されていたため、下記にustのURLを示します。

http://www.ustream.tv/channel/nekomachi-ust