『僕たちはガンダムのジムである』

読後の感想
著者の常見陽平さんは元リクルートで転職雑誌「とらばーゆ」などにもかかわったいわゆる人材コンサル。
その採用・人事のプロから、我々はどう働くか、という視点で書かれている本です。
タイトルにある、ジムというのは機動戦士ガンダムに出てくる「量産型」のこと。
つまり、メインターゲットはガンダム世代である四十代以下の自分たちなのです。

常見さんの趣旨は、みんな万能感、特別感をもって成長してくるけど、会社に入るとそうじゃないよ、ということ。
甘やかされてモラトリアム全開で育ってくるので、「世界に一つだけの花」症候群じゃないけど、オンリーワンだと思っちゃう。
でも、所詮量産型だから、そんなに何でも出来ないから気をつけて、というもの。
タイトルからイロモノを想像してしましたが、特にガンダムである必要性がなく(許容性はあるけど)
しかもファーストしか出てこないので、通称ガノタの人が読むとがっかりするでしょうね。

印象的なくだり

よく「日本人は働きすぎだ」ということが指摘される。では日本人はどんな表情で働きすぎているのか?このことを考えたこのはあるだろうか?「働きすぎ」について考えると、会社という名の「戦場」をより深く理解できる。僕が15年間のサラリーマン生活で見聞きしたのは、いわゆる「苦悶」の表情だけではない。むしろ、「笑顔」で働きすぎてしまうことこそ、問題なのではないかと考えている(P031)。
「キャリアアップ」幻想がみんなをおかしくしている。カッコつきにしたのはちゃんと理由があって、キャリア教育にかかわっている者から言わせると、そこにはアップもダウンもなく、すべてが自分が歩んできた轍なので、「キャリアアップ」という言葉はおかしい。
(中略)
成功したかどうか、「キャリアアップ」したかどうかの評価は、短期•中期•長期で考えなければならない(P099)。

管理職以上になるためには「評価」だけではなく「評判」も気にしなくてはならない。「評価」と「評判」は違う。「評価」は主に業績ひ対するものであり、会社が評価したものだ。「評判」は、周りの人がその人について感じていることだ。意外にもこの「評判」というものが会社生活ではものを言う。特に管理職以上には人徳が必要だから、なおさらそうなのだ。皆さんの周りにも優秀だけど、陽の目を見ない人がいることだろう。
会社人生における昇進•昇格は評価だけでは決まらない。課長くらいまでなら誰でも努力によってなることはできると言われるが、それ以上になるためには運と縁、そして応援してくれる上司、部下からの「評判」が特にものを言う。タイミングも重要である(P138)。

元々COMPANYというのは、ラテン語でパンを一緒に食べる人という意味であり、同じ釜の飯を食うことを表現したものなのだ(P195)。