『僕はパパを殺すことに決めた』

前にも書きましたが、タイトルの本を手に入れたので読んでいます。
前回の感想はこちら
https://fukudashigetaka.com/article/72970221.html

 全体で250ページで現在半分くらい読み進んでいるのですが、率直な感想として「よく本を出す気になったな」と思うくらいのひどい内容です。
 まず文章の八割以上が供述調書の引用で占められており、著者本人が書いた部分はごくごくわずかでした。本来供述調書は外に出ない性質のものであり、それを前提として話すわけですから、プライバシーの侵害もいいところです。

 プライバシーの問題のデリケートなところは、一度流失してしまうと取り返しが付かないことにあります。

 それを「だが、この事件の大きな原因は、父親にある。その事実から目を背けてはならないと私は思った。だから本書に、父親の供述調書の全容を記すことに決めた。」(P059)と、わずか二行で記してしまうところに、この著者のプライバシー感覚が如実にあわられていると感じました。著者の考えはある一つの考え方であって、明らかにジャーナリストとしての正常なバランス感覚を逸脱していると思います。

 それが、正当な手段を経ないで手に入れた情報源を基にし、それを公表してしまうところが、その感覚の一端を示していると感じました。ちなみに、この著者に供述調書の内容をもらした崎濱盛三医師は、奈良地検に、刑法の秘密漏示罪の疑いで逮捕されています。同容疑での逮捕は異例。しかも、新聞報道を見る限り、検察に逮捕されているようです。