『ずるい!?なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか』

青木高生

読後の感想
今まで自分が持っていたモヤモヤとした感覚、
そうそうタイトルのとおり、なんでだろうなぁと思っていたのを
きちんと言語化、概念化してくれた一冊です。

ステレオタイプなのでこう言った書き方は余り好きでないのですが
日本人はルールがお上から降ってくるのでそれを守るのに美学を感じるのに対して
欧米人はルールは自分が作るものなので、道理に合わないなら変えるし
そもそもルール作りから戦いが始まっている、と考えている、と。
そして、文中にある

ルールとプリンシプルの混同
ルール 行動が準拠すべき、または準拠することを要求されるプリンシプル
プリンシプル 理性や行動の基礎となる、基本的な真理・法律
つまり、ルールもプリンシプルの1つではありますが、
プリンシプルのほうがより根源的で、どんな場合でも変わらない
真理性を含んでいるのです。
ルールは「行動に関する規定」、プリンシプルは「行動に関する原則」とか
「自分の流儀」と訳したら良いでしょうか。
そうであれば、ルールが変わることに大きな問題はありませんが、
プリンシプルがコロコロ変わるようでは問題です(P031)。

のくだりは、単にルールを守るという概念をきちんと細分化して
それぞれに場合分けに当てはめられる分かりやすい説明でした。

最後に書かれた「ルールについて日本人が取るべき3つの行動」は
分かっているようでなかなか難しい行動指針です。
1.ルールの意味と目的を理解しておく
2.ルールが実情に合わなくなったら変更を提案する
3.ルールが必要なら、ルール作りを率先して行う

あと、各章にある「まとめ」を入れるところは
ビジネスマンが書いた本だなぁと見習おうと思いました。

印象的なくだり

日本の文化のことなんか知らないという人も、
日本史が苦手という人も、スポーツで技術や戦略を磨くのではなく、
ルールを自分に有利に変えるという姿勢をフェアではないと
感じるのはなぜでしょうか。
(中略)
それは、こうした相手の態度が美しく映らないからです(P028)。

そうそう、勝負とは無関係なのに美しくないと思ってしまうんですよね。

山下泰裕がそうだということではないのですが、優秀な選手だからといって、
ルールメーカーのトップとして達人であるとは限りません。
必要な能力や知見が、選手と運営組織のトップでは大いに違うのです。
チームスポーツの経験者なら、多少は組織運営に関する知識があるかもしれませんが、
個人競技になるとほとんどその経験はありませんし、財力となると
要求するほうが筋違いの話です。
したがって、会長や理事の席を得るには、アスリートを鍛えることとは別の
領域で、金メダルを取るのと同じくらいに周到で緻密な戦略が必要と
いうことになります(P057)。