『まずは1人で独立・起業!うまくいく人、いかない人』

読後の感想
この本って、起業したいけど自営業にするか法人にするか迷っていて、そもそもそこも決まっていないし、というか独立するかも決まっていない、という方向けに書かれています、という体の割には、それぞれの違いについての記載がやや不明瞭に感じました。
つまり、自ら本を読む層のターゲット層を狭く絞り込んでおきながら、その層の知りたいことに答えている雰囲気が感じられないのはちょっと残念なところでした。
実務的な内容としては、会計ソフトは絶対買え、とかウェブサイトから書式集がダウンロードできるなど、こっちは親切ではあるかと思います。

初めてのアコム的な。

印象的なくだり

私がコンサルに携わったときに、既に当初の事業計画数値と実績との差が大きく、事業展開も違ってきていて、乖離の説明がまったくできない状態の会社がありました。この会社は、追加出資ができないと資金繰りができずに破綻する状況でした。仕方がないので、ビジネスモデルの転換という筋書きにした改定事業計画書を作って出資予定者を回ったのです。
しかし、なぜビジネスモデルを変えるのですかというきつい質問が続出して、ついに追加の資金調達ができず破綻しました。私は結局1回もコンサルタントの報酬をもらうことすらできないで、コンサル失敗となったのです。
当初事業計画はまったく無視せざるを得ない状況にありましたが、よほど納得できる理由をつくることができない限り、事業計画の改定は無意味だということを学んだという意味では貴重な授業料になりました(P073)。

最初の事業計画書の重要性が痛いほど分かるエピソード。
曖昧に適当に決めた計画に、他人はお金を払うことは出来ないんだよなぁ。

20年位前に、会社の近所で高級な居酒屋というか、庶民的料亭というか、元割烹の板前さんが店を始めました。
味も店の雰囲気も、おやじさんも良くて、頻繁に足を運びたいのですが、個人では若干高い。そこで「この店は、会社で利用する客を主に考えていますか?」と聞いたら、そうだという言う。そこで「この味と雰囲気だったら、もうちょっと頑張って単価を下げて個人客相手にしたら繁盛間違いない」と言ったら、次回行ったときに、もうメニューが変わっていて、個人客相手のリーズナブルでおいしい店になっていました。
その後、そのお店に行く度に、「鏡味さんにはお世話になり、おかげさまで順調です」と感謝はされるのですが、予約しておかないと入れないもの困ったものです。
この例では、個人相手なら即時現金収入になりますから、売上の回収期間がゼロです。支払い条件を改善すると、仕入れも良いネタが入るようになり、お客も増えて事業も順調となるのです(P122)。

いわゆるキャッシュフロー改善のお話。
経営という観点からはとても教訓めいたお話なのです。