『成功ハックス』

『成功ハックス』
大橋悦夫

読後の感想
成功本マニアの人が書いたマニュアル的な本。
興味深いのは、どう実行するか、ではなく、どうやったら実行「しやすい」かに注力して書かれているところ。
前提として、「自己啓発本は読むけど、読んでその気になって、結局実行できないんだよなぁ」という人向けに書かれています(わたくし?

というわけで、その意味では、メインディッシュではなく、数あるオプションのうちの一つ、という感じで読めば良いと思います。

なお早速実行してみたのは下のくだり。

一人で考えていたときにはさっぱり筆が進まなかった言行が、編集者の方から次々と繰り出される質問に対して「それはこういうことですよ」などと答えていくことで、一人で苦しんでいたのがウソのように、するするとアイデアが浮かんできます。
これと同じことを頭の中で行なうようにすればいいのです。あたかも誰かからインタビューされているようなつもりで、実際に質問を作って答えていくのです。
たとえば、「できればやらずに済ませたいこと」について書くのなら、
・今までやっていて一番イヤだったことは何ですか?(過去)
・今現在イヤイヤやっていることは何ですか?(現在)
・それは今後もずっとやらずに済ませることはできないんですか?(未来)
といった具合に、タイミング(過去・現在・未来それぞれ)について聞いてみます(P.054)。

うまいリスト化のやり方。
単なるトリガーではなく、対話形式になっていて、問いに答えるだけではなく「何でこんな風に答えたんだろう」とより深く掘り込みできるものよい。
早速やってみよう。

読みっぱなしではもったいない
何をメモするか
(中略)
(1)なるほど、それは知らなかった!もっと詳しく調べてみよう。(すぐにやってみる)
(2)へぇ、この方法ならそんなに難しくなさそう。さっそく始めてみよう。新しい習慣として始めてみよう(新しい習慣として始める)
(3)なんと!こんな方法もあるのか。さっそく取り入れてみよう。(今までの習慣を改める)
(4)これは○○さんが欲しがりそうな情報だから、教えてあげよう。(必要としている人に教える)
(5)この部分は大事だから折に触れて何度も読み返したいな。社内報や朝礼のネタにしよう。(後日のために取っておく)
(6)読み返してみたら、たいしたことなかったかな。(読まなかったことにする)
「やりたいこと」から「今すぐできること」を切り出したときと同じように、とにかく分けること。それによって、あなたが何をどのように実践すべきかが「わかる」のです。
せっかく折り返したのですから、その”バトン”を未来の自分に託したいものです。このバトンとは本を読んでいるときに心に浮かんだ「こうすればいいのか!」とか「なるほど!」といった想いのカタマリです。これを確実に生きながらえさせていった延長線上に、あなたにとっての「成功」があるはずです(P.083)。

良い言葉だな、バトンをつなぐ。
実際に自分もメモをしたときや、ページを折ったときは「すごくいいな」と感じたはずなのに、後になってみると「なんでここを折ったのかな?」と思い出せないことがしばしばあります。

そんなときは「もったいないなぁ」と強く感じるのですが、今後はこれらのように大まかにどんな感情だったかだけでもメモをしておこうと想いました。その意味ではこの文章は上の中では(3)です。

メモをしか箇所を見返してみて、上のうちどのような気持ちだったかを確認する。
いい意味での妥協、こんな風に使う方法があるなんて。
確かに振り返ってみたら、「やらなかった自分」よりもずっとまし。

印象的なくだり

返信するための時間がない
時間は誰にで平等に与えられているはずですから、厳密には「返信するための時間がない」のではなく、「返信するための時間をあらかじめ確保していない」ということでしょう。会議や打ち合わせは、あらかじめそのための時間を確保しているはずです。「会議をするための時間がない」という人はいないはずです。むろん、やむを得ずキャンセルをすることはあるかもしれませんが、キャンセルをするということは、あらかじめ時間を確保していた、ということです(P.116)。

そうそう、仕事でも同じ事。時間がないと言い訳しない、させない。

妥協をうまく利用する
それは、可能な限り「やらない」という選択肢が選ばれる確率を下げること。逆に言えば、「やる」の選択肢を増やすことです。
たとえば、腹筋がなかなか続かないということであれば、腹筋のやり方を5種類用意しておき、その中から選ぶようにするということで、「今日は疲れているから、一番ラクなこのパターン5でやっておこう」といった具合に、良い意味での妥協を引き出すことができます。
黒と白のモノトーンではなく、その間に無数のグレーを用意しておくことで、「望ましくない極端」、すなわち「やらない」という選択肢が選ばれるのを避けるわけです(P.177)。

いい意味での妥協、こんな風に使う方法があるなんて。
確かに振り返ってみたら、「やらなかった自分」よりもずっとまし。