『最強のふたり』

最強のふたり(原題: Intouchables)
監督
エリック・トレダノ
オリヴィエ・ナカシュ

フランス映画。実話ベースのお話。2013年日本アカデミー賞最優秀外国作品賞受賞作。

鑑賞後の感想
登場人物は大きく分けて二人。
パリに住む大金持ちのフィリップ(フランソワ・クリュゼ François Cluzet)。かつてパラグライダーの事故に遭い、首からつま先まで感覚がない車いす乗り。奥さんもその事故でなくしてしまい、二重の苦しみを味わる孤独な大富豪。
そして、そのフィリップを介護をするのは経験ゼロのドリス(オマール・シー Omar Sy)、しかも宝石強盗の前科持ち。
元々いろんな人から距離を置かれていて気難しいフィリップが、一時の気の迷いからドリスを介護係に採用するところから、話が進みます。

オープニングの車を飛ばすシーン、BGMはEarth Wind & FireのSeptember。警察に囲まれる、フィリップが嘘発作、警察は見逃し、警察の対応について賭けごとする二人、仲よさそう。この二人のイチャイチャ感が最高です。

時間軸は逆に戻り、二人の出会いであるフィリップの介護者面接シーン
元々失業手当をもらうためだけに面接を受けにきたドリスは面接の順番を待ち切れず面接に乱入、対してフィリップはドリスを気に入りみんなの反対をしり目に採用。
実はフィリップは気難しくて今までの人はみんな一週間程度で辞めていたので、似たような応募者にうんざりしてたんですね。
で、採用されたドリスは泊りでの仕事になり、場面は夜へ。
フィリップには動かはないはずの身体から痛みを感じる発作、いわゆるファントムペインが(幻想痛)があることを知るドリス。
ここら辺からすべてのエピソードがどんどん仲良くなるドリスとフィリップ、友人たちは辞めとけと忠告するもそれがなお一層、天邪鬼のフィリップには気に食わない。

というか、フィリップがドリスを気に入っている一番の理由、「ドリスは、フィリップに対して障害者だからという対応をしていない」ことなのです、たぶん。
他の介護者がやってきたことを一つも守らず、雇い主にも平気で歯向かうし、タバコ吸わせたり、自動車いすを改造させて、セグウェイを追い抜いたり。

二人の関係がきっちり対等になりつつあるところに、一石を投じたのがフィリップと文通しているエレオノールの存在。
障害を隠したいフィリップはずっと文通だけをしているが、ドリスはそれが気に食わない。勝手に会う約束を取り付けてしまい、しかも写真の交換まで約束してしまう。
それにもかかわらず、勇気の出ないフィリップ、ドリスが選んだ「障害者であることを隠していない写真」を勝手に、障害者になる前の写真に変えて送ってします。
どうやら相当隠したい事実のようでコンプレックスなのだなぁという演出です。

主役の二人以外もいい人が多くてほほが緩みます。
ドリスがちょっかいかけている美人秘書のマガリーは、最後になぜドリスに興味がなかったかが明かされます。
ドリスの先輩介護補助イヴォンヌはドリスのおかげで人生か少し楽しく変わります。

個人的に一番好きなのが、フィリップのサプライズ誕生日パーティー、フィリップはドリスが気に入るようなクラッシックを色々試してみるがダメ、むしろドリスが持ってきたEarth Wind & Fireでみんな踊りだしてしまう、使用人も楽しそうで、それを見ていたフィリップも笑顔。なんて素敵な物語。