テレビドラマ『犯罪の回送』の感想
犯人についての一部ネタバレあります。
観賞後の感想
松本清張の重厚な犯罪小説も、テレビ局の2時間ドラマ制作者にかかれば、おじさんがイチャイチャするBLになってしまいました。
見所は東京の警部である田代俊一郎(村上弘明)と、北海道の警部である小森修司(陣内孝則)の二人の気持ちの変化です。
初顔合わせは敵対する感じで、ツンツンする小森と困惑する田代という関係。
同じ車に乗る時も、田代は後部座席、小森は助手席。
カウンターのお店でお酒を飲む時も、小森は田代にお酌するが、自分は返盃も受けずに一人で飲んでしまう、というように。
そんな二人は捜査の進行が進むにつれて、お互いの背景を話始めちょっとだけ打ち解けていきます。
上層部は単純な動機で幕引きをしようとしているけど、そんなに浅い事件じゃないことや、真犯人は別にいることなどをお互いの話をしてどんどん仲良くなる二人。
最終的には殺人事件の捜査中に二人でソフトクリームを食べたり、ギャグパート多めのおじさんドラマでした。
原作にはない演出でしたが、秘書の有島澄江(鈴木保奈美)が春田美知子(矢田亜希子)を憎悪の目で見る、という部分は、非常に素晴らしい翻案でした。
視聴者をミスリードして、結果的には物語のストーリーには大きく影響しないものの、犯人の非人道的な行為を強めるという重要なシーンです。
松本清張マニアの視点から見ると、今回は定番の時刻表トリックではなく、方言テクニック(亀田と亀高)案件なのですが、やはり2時間ドラマだと脚本にそこまで詰め込むのは難しいようでさらっと解決されていたのがちょっと残念でした。
公式サイトからのあらすじ
公務出張中の東京で失踪した北海道北浦市長・春田英雄(川野太郎)を探してほしい――警視庁捜査一課に北浦市議会から捜索願が出され、警部・田代俊一郎(村上弘明)が担当することになった。春田市長は、港湾拡張計画の認可を関係省庁に陳情するために、秘書の有島澄江(鈴木保奈美)や市議会議員らと上京していた。しかし春田市長は、5日前に秘書の有島が宿泊先のホテルに送っていったのを最後に、行方が分からなくなっていた。
一方、港湾拡張計画に反対する革新派の北浦市議・早川準二(尾美としのり)も密かに上京していたことが判明する。早川市議は、これまで政策を巡って春田市長とかなり対立していたことから、市議会議長の福島(寺田農)らは、政敵・早川が春田市長とトラブルの末に殺害したのではないかと、推測する。春田市長の妻・美知子(矢田亜希子)の代わりに北海道から駆け付けた市長の実弟・雄次(勝村政信)は、行方不明の春田市長が生きていると信じたいが……。田代は、部下の警部補・岡本和也(平岡祐太)や巡査部長・奈津美(田中道子)らと捜査を続けるが、依然として早川の行方を掴めない。さらに、秘書の有島も不可解な単独行動を続けており、田代は不審感を募らせる。
そんな中、東京・日野市の雑木林で、絞殺された春田市長の遺体が見つかった。春田市長は、失踪後、1両日以内に殺害されたとみられ、ネクタや財布などがなくなっていた。また、春田市長の地元・北海道では、道警の警部・小森修司(陣内孝則)らも捜査を進めていて……。
北海道と東京、二つの土地にまたがる殺人事件。不可解な単独行動を取る澄江の目的とは…?対立する二人の政治家と二つの地酒、…様々な思惑と愛憎が入り混じる中、驚きのトリックとどんでん返しで、市長殺しの犯人が明らかになる!愛憎絡み合う珠玉の社会派ミステリー。
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