『社長の失敗!私はここが甘かった』
中経出版
野口誠一
読後の感想
全て実体験に基づくもので、説得力に富む内容でした。
情報自体は古いですが、本質は同じではないでしょうか。
こういった本音(と思われるもの)は、一般に成功した人は本で出すけど、失敗した人は出さないので、非常に貴重な機会でした。
当たり前ですが、倒産した会社の社長の末路は悲惨です。それがたとえ不可抗力によるものでも。
個人的には、成功するかもしれないお話よりも、失敗したお話を多く聞きたいです。なので、この本は性格にあっていました。
印象的なくだり
倒産は決して急に起こるものではない。必ず何らかの前ぶれがあらわれるものである。
<倒産の前ぶれ十五カ条>
一、売上げの三ヶ月分以上の借金ができた時
二、有力社員が確たる理由なく退社した時
三、経営者に日頃みられぬ不自然な行動があらわれた時
四、まじめな経営者がウソをつくようになった時
五、「あそこは危ない」という世間のウワサが出た時
六、経営者が派手に遊び始めた時
七、新製品が売れなくなった時
八、努力しても赤字が続く時
九、夫婦仲が悪くなった時
十、家族や従業員の笑顔が見られなくなった時
十一、サラ金に手を出した時
十二、無理な資金計画を銀行に提出した時
十三、経営者が過信、高慢に陥った時
十四、経営者が自分ひとりで取引きを始めた時
十五、八起会の記事が気になり出した時
(P020-021)
お人よしは商売下手の代名詞
まず第一にお人よしの経営者は倒産する。お人よしというのは、言い換えればいい加減なのだ。
お人よしは、自分がお人よしだから、他人もお人よしだと思い込んでつき合う(P028)。
他人を見抜く力をつけろ。自分にとって善人か悪人かを見分けるのが社長の仕事だ(P091)。
古くからの社員をさしおいて出世させた男が不正をはたらき、その上、退社して、売上げに大きな影響が出たのですから。
いわばあの事件は、私の社員管理のミスが原因でした。私は、本当に必要な社員と、そうでない社員を見分けられなかったのです(P169)。