『質屋の経済学―歌舞伎町の風雲児が教えるお金がまわるからくり』

『質屋の経済学―歌舞伎町の風雲児が教えるお金がまわるからくり』
アーティストハウスパブリッシャーズ
服部正和

読後の感想
世の中に、仕事のやり方やお金の借り方について書かれた本はあっても、お金の貸し方について書かれた本は珍しいなぁと思いながら読みました。
古い業界体質をシステマチックなやり方の手法で少しずつ変えていくくだりは読んでいて爽快でした。物の価値について考えされられる一冊です。
内容は体験談も豊富に取り込まれており、引き込まれます。
若くして苦労人をしのばせる所以だと感じました。

印象的なくだり
ハイソサエティの方々は、お互いにデパートやブティック、よく行く場所などが共通しているため、口コミ情報の信用度がかなり高いのです。
しかもそういう方に限って、自分の持ち物をどこかに売るという経験がない方も多かったりします。
一度出張してお伺いし、信用していただけると、次からは宅配で送ってくださることが多いのですが、その方のご紹介でお友達などからも宅配査定の依頼が来たりしますから(P076)。

実はもっとも重要なのがバンドのコマ。
バンドがゆるい場合、コマを詰めてサイズ調整をしますが、その際に余ったコマが揃っているかどうかで、査定金額は大きく変わります。
それが金製の時計だった場合、コマひとつが3~5万円に相当しますし、プラチナせいだとコマあたり10万円くらい査定額に差が出ることも。
高級な腕時計を買った際は、コマをなくさないようにくれぐれもご注意を(P100)。

結局、お客様に納得していただくための、あらゆる言葉の引き出しを持っている者が勝ちなんです
新人の場合、その引き出しが少ないので、今挙げた3本柱のうち1本しか持っていなかったりします。
そうなると、お客様を納得させることができないので、どうしても苦しい交渉になってしまう可能性が高くなるのです(P137)。