『プロ論。』
徳間書店
B-ing編集部
読後の感想
様々な人が語るインタビュー集形式の本です。少ない字数でいかに伝えるかもプロの仕事だなと感じた。多くの場合、言葉が少ないのは伝えることが少なくなるけど、本当に伝えたいことは一行でも伝えられる。
一番のヒットはやはり中島義道。かくありたい、と思えるほど自分自身を見つめる勇気を持っている人だと感じた。
目次を見たときに、センスがない人選だなぁと思ったけど反省。知らない人ほどいいこと言ってた。幅が広がりました。
印象的なくだり
横山秀夫
本当に仕事で結果を出したいなら、何かを犠牲にしてでも努力をしなければならないと思っています。だから厳しい言い方ですが、少なくとも努力をしないで夢を見てはいけない。これは、どんな時代でも、どんな年代の人にも言えることだと思います(P100)。
邱永漢
お金がたくさんあったからといって、必ずしも幸せになれるわけではない。普通の人が1万円の買い物で味わえる楽しさを、お金持ちは1万円では味わえないんです。客観的にはお金持ちのほうが幸せに見えても、実はそうではないことも多い。
就職でもお金でもそうですが、客観的な値打ちと、主観的な値打ちの違いに注意することです。そして人生を客観的な真理や価値だけで貫くことは絶対にできないんだということを、きちんと知って欲しいですね(P115)。
佐々淳行
パニック時の特効薬は「笑い」である(P117)。
重松清
どこで書いても自分は自分、なんてのはオレは好きじゃない。取引先の顔色をうかがうとかそんなことではなく、求められている中で最も効果的なものを書いたほうがみんなハッピーになれるじゃない。これは文章を書く以外の仕事でも同じじゃないかな。恋した相手に接するくらいの意識で仕事をしたら、結果は大きく変わってくると思うね(P163)。
中島義道
社会にはいろんな人がいていいわけです。会社人間がいてもいい。家族を大切にする人がいてもいい。世間でいう成功を目指さない人がいてもいい。いろんな人がいる社会ほど、いい社会だと私は思う。
人々が画一化に走りたがるのは、そのほうが安全だからです。自分で判断し、全責任を負うのが怖いのです。最近では、自立なんて言葉も聞かれますが、多くの人が賛美するほど、自立という行為は甘いことではない。しかも自立という画一化がまた始まることになりかねない。大切なのまずは世の中もっとリアリスティックに見つめることです(P168)。
平尾誠二
時間って命の一部なんですよ。今の時間を大事にできない人は、未来の時間もきっと大事にはできない。ここで自分らしく生きることができない人には、次なる道は開けない気がするんです。今はそういう感覚を大事にしなければならない時期にきていると思います(P177)。
高橋がなり
(前略)僕は、仕事の適性とは、「人にどのくらい喜んでもらえるか」で、考えるべきだと思っているんです。人に、より喜んでもらえる仕事こそ適性。そう心掛けて仕事を選び、取り組めば必ずチャンスはくると思う。ところが、「先にチャンスだけよこせ」「オレだけによこせ」という人が少なくない。それじゃ、チャンスはこない。自分のためじゃない。まずは人のために頑張ってみてほしい(P258)。