『社長が変われば会社は変わる! ホッピー三代目、跡取り娘の体当たり経営改革』

『社長が変われば会社は変わる! ホッピー三代目、跡取り娘の体当たり経営改革』
阪急コミュニケーションズ
石渡美奈

読後の感想
いい意味で必要以上に飾らない自伝風なので、優等生の経営者の本よりは自分に距離が近く共感して読めます。
しかし、それ以上の効果はなく、経営の本と言うよりはタイトルにもあるように「会社を変えるのは社長しかいない」ということを改めて強く認識させてくれただけでした。ある種の希望と絶望ですな(笑
本の内容とは離れますが、140ページのくだりを読んで決意したことは、これから自分が親になろうというときに、子供に先読みされるような短期的な評価は決してしないようにしようということです。
子供は子供で大変でしょうが、親も親で一日たりとも休みがないんだよなぁ(笑

印象的なくだり
問題意識を持っていても、自分から投げかけなければ、誰も「君は、こういうことを考えているんじゃないかね?」などと聞いてくれるわけがない。特に経営に関しては、皆さんそれぞれ試行錯誤や努力の上で手に入れたノウハウ、人脈を、そうやすやすと他人に教えはしない。正直、できれば隠しておきたい、あまり人には言いたくないと思っている経営者も少なくないのではないだろうか(P028)。

私は徹底して勉強し、スポンジのように吸収し、ホッピービバレッジにとって良いと思ったらその瞬間に取り入れ、間違いに気づいたら判断をし直して、また続ける。これを繰り返し、繰り返し、休むことなく何度も繰り返し続けて、自分を育て、会社を育てます(P037)。

小さいころから私は、無意識のうちに、「親の期待にそむかないように」と自分で自分を縛っていた。いつも母の願望を先読みして、それにあわせて行動するクセがついており、つい「いい子」を演じてしまう。つまり私は、母がそうしようと思っていたというより、自ら進んで母から支配されていたのだ。親にしてみれば、あまり手のかからない、育てやすい子だったに違いない(P140)。

「経営者は一円単位のものは必要としない。仮締めで良いから試算表を一日に社長、副社長に提出すること」
孤塚先生から最後の課題が出たようだ(P206)。

危機感
経済的に損をしないともてない。非常事態宣言を出して、組織を一つにするチャンスです。放っておくと組織がバラバラ、個人個人になる。(「仕事ができる人の心得」小山昇・著より)
そこで私は、発生四日目にして把握できている経済的損失を書き出した。
社告掲出費用・・・・・・一千万、人件費・・・・・・一二〇万、緊急車両費・・・・・・六〇万、商品代・・・・・・などなど。合計で、すでに一四〇〇万近い額が弾き出された。
これをメイン商品のホッピー330の一本あたりの利益に換算すると、どれくらいにあたるかと社員に質問してみた。
これまでこのような教育をしていないのだから、答えられるはずもないが、実際「そんなに儲かっていたらとっくに新しい工場がラクラク建ってるよ!」思わず、笑いが出るような珍答続出。内心、教育をしていないことの怖さを感じ、反省していた。
「約半年分に相当する」という解答に、会議室は水を打ったように静まり返った(P235)。

小山さんは、良いことを進める時もクレームの対応でも、常に「危機管理」を忘れない。打つ手は必ず一つ以上考え、丹念にシュミレーションをしてその場で最適と思う手を打つ。わが社の「工場長辞表事件」の時も三つのパターンを考えたと後で教えてもらった。
「僕は、数年前までいつも、全社員一人ひとりを思い浮かべては、彼に何かあったらああしよう、彼女に何かあったらこうしよう、仕事が止まってお客様に迷惑がかからないようにいつも頭の中でシュミレーションしていたよ」とは、よく聞かせてくださる話の一つだ(P246)。