『化粧する脳』

『化粧する脳』
茂木 健一郎
集英社

読後の感想
脳科学者の茂木健一郎とカネボウの共同研究を分かりやすくまとめた本。なるほどと思った部分は、化粧をすることによって女性は素の自分ではなく、他人を意識した自分になるという点と、他人を通してしか自らを把握できないという点。自分は男性なので化粧をしないのですが、化粧をする女性の気持ちが少しは理解できたようなきがしました。決して面倒というわけだけではなく、脳が喜ぶというのは新鮮でした。

ところでモジャモジャさんことモギーさん(茂木健一郎さん)は髪の毛を自分で切っているらしいですよ(所要時間三分)。どうでもいいけど妙に心に残った(笑

印象的なくだり
「化粧をする」ということは、すなわち、他者から見られることを前提に、自分自身のあり方を見つめ直すということである(P005)。

わたしたちは他者の認識や選定について、これほどまでに「顔」に傾倒してしまっているのだろうか。それは、顔の造形そのものというよりも、むしろ顔に表れる表情と心の問題が、コミュニケーションに欠かせないからではないかと考えられる(P028)。

人間の脳がいちばん喜びを感じるのは、他人とのコミュニケーションだということはよく知られている(P042)。

子どもは、困ったことがあったとき、無意識に親のほうを見る。そのときに親がやさしく見つめ返してあげられるかどうかはとても重要だ。見つめ、見つめ返す。見つめ返されれば子どもの脳は喜ぶ。そして愛着が生まれる。アイコンタクトで人間は育つ。幼い時分にこうして親子間でしっかり育まれたコミュニケーションが、人間社会の基礎を築いていくこととなる(P043)。

普段、見慣れている自分の顔は「鏡像」なのだから(P051)。

自己は、他者を通してしか確認することができないのだ(P052)。

化粧をした顔を認識しているときの脳の活動は、自分の顔を認識しているときとあきらかに異なった。むしろ他者の顔を意識しているときの活動に近かった(P055)。

クジャクは、選ばれる性である雄が進化の課程で美しい尾羽を有することができた。選ぶジェンダーと選ばれるジェンダー、選好の主体が力を、客体が美しさを獲得していく。となると、人間においては、基本的には女性が美を進化させていくことになる(P073)。

世界最古といわれているバブルは、一六三三年から三七年にかけてオランダで起きた「チューリップ・バブル」だ(P076)。

顔が一種の造形である以上、目鼻立ちの黄金比や対称性といった、一般的な美が準拠している基準を、ある意味では共有していると思うが、それでも表層のかたちだけでは判断できないところもある。というのも、花や宝石、客観的な美術品とは異なり、人間は心を持った存在であり、人間は顔にその人の心のあり様を求めているからだ(P079)。

わたしたちがいま必要としているものは、自分たちの外見を確認して整えるために使う鏡ではなく、古代の鏡が象徴していた、目には見えないものを映し出す鏡なのではないだろうか。それは、精神のあり様、言動、そして生き方そのものを映し出す鏡である(P121)。

個性などは、どんな人にでもある。それは到達点などではなく、むしろ「出発点」に過ぎない。個性から出発して「普遍」に至ろうと努力することが大切なのである(P132)。

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