『ライフログのすすめ』

読後の感想
驚いたのは、マイクロソフトのデスクトップ検索は、実は彼のスキャンのときの悩みから思いついたというもの。
確かに必要は発明の母とはいうが、ライフログのおかげで便利になったと思うと不思議な気分。感謝。

文章の中に出てくるセンスコムというカメラ。
このカメラを首からかけておくと、一日中、カメラが写真を自動的に撮影し続けるというもの。
レンズは魚眼で、およそ一定感覚で勝手に写真を撮ります。
光を感じるセンサーが付いていて明るさの変化があればパチリ、赤外線のセンサーも付いていて誰かの体温を検出したらパチリと使います。
もちろん写真を記憶代わりにするのではなく、記憶を刺激しようというアイデアです。
現在ではそのライセンスを英国Vicon社が受け付いてViconRevueという名前で発売されています。
興味があれば是非。
http://viconrevue.com/product.html

やっぱりライフログのコツは、無意識にする仕組みが肝要と知りました。

印象的なくだり
僕がライフログを記録しているのは、自分のためだから、人には見せない。すごく実用的で役に立つからやっているのだ。手間を掛けてブログに書き込んだり、ユーチューブへクリップをアップしたりするのと違って、僕のライフログの大部分は自動的に記録される。
共有するときは、それぞれの相手が信頼できるか考えて慎重にやる。その先ずっと世界中を相手にしたいと思わない限り、公開しない。いったんウェブ上に出てしまえば、コピーは簡単、「取り戻す」ことなんかできやしない-サイバースペース環境(というか、サイバースペースの埋め立て地)に未来永劫とどまり続けることになる。もし世界中と何もかもを共有したいと心底思うなら、やればよい。君の権利なんだから。けれど、僕は人に絶対そんなことはすすめない(P042)。

電子記憶には、人間の意味記憶における意味や定義や概念の事実関係を調査する役割が与えられるのではないか。グーグルやウィキペディアを利用して、できる範囲でこうした調査をすでにしている人もいるだろう。けれども、自分の知っているすべてのことがウェブ上で簡単に見つけられるわけではないし、ウェブ上に存在しない事もあるかもしれない(P093)。

ネットで探せるのはあくまでも他人の経験だけだから。
時代に取り残されるな、前途を見据えろ
五〇年後もすべてのファイルが必ず読めるよう、ファイル形式には注意が必要だ。
(中略)三つのガイドラインに従おう。
第一に、最新のファイル形式に変換すること。たとえばJPEG2015という写真用の新企画が一世を風靡した、としよう。すべてのJPEGデータをこの新しい規格に変換するのだ。
第二に、可能な限りいつも、「ほぼ永遠に」サポートされると思われる「前途ある」ファイル形式を使うこと。
そのような形式を見わけるためのアドバイスとしては、何百万人によって何百万回も使われている形式を選ぶこと。
たとえその形式が時代遅れになっても、大きな市場が存在する限り、古い形式を新しいものに変換するソリューションが提供される。前途ある形式のお手本としては、JPEG、MPEG-2、HTML、PDFが挙げられる。
第三に、情報の内容が刻々と変化するようなデータは、その印刷バージョンを作っておくこと。
たとえば、僕は毎年、年次報告書をマイクロソフトマネー形式からPDF形式に変換しておく。こうしておけば、マイクロソフトマネー形式のファイルに将来何が起こっても、少なくとも閲覧とテキスト検索ができるデータは手元に残る(P300)。