『新・片づけ術「断捨離」 』

「断捨離」
やましたひでこ

読後の感想
僕はモノが捨てられない。
割とモノが不足していた時代に育った両親に育てられた自分は
圧倒的にモノが捨てられません(自覚あり)。
しかし、我が家の物理スペースには限界があり、
しかも大半は本(めちゃくちゃ書き込んでいて売れない)・書類で、
重くて場所をとるし、「またいつか読むかも」と思ってしまっていました。
特に「文字が書いてあるもの」は捨てられないんですよねぇ
(そもそも踏んだり跨いだりすることも苦手)。
というわけで、断捨離。
読む前の印象としては「言葉は知っていましたが、
どうせ捨てる方法でしょ?」と高をくくっていました。
しかし実践方法を見ると、ふむふむとうなづくところも多いし
何より着手しやすそうなものが多かったです。

そりゃあ、よくよく考えてみると、
著者の経験やセミナーでの講演を耐え抜いたものばかりなので
実践できる(継続ができるもの)だけ残ったのでしょう。

その中でも特に実践的だと感じたのは、総量規制のお話。
ざっくりまとめると、まず自分の持ち物の総量を決めてその数に合わせる。
次にその量を超えるものが入ってきたときは、
総量に合わせてその中から必要なものを選択し、総量に合わせる、という方法。
著書の中では押し入れ、クローゼット、引き出しなどの
「見えない収納」は収納の七割、
食器棚、サイドボードなどの「見える収納」は収納の五割、
そして装飾的に「見せる収納」は一割だと決めています。
そして、その量を超えた場合、はみ出た部分を必ず処分する、というものです。
この方法だとなんとか詰めて解決しようとかにはならず、
どちらかというとモノを増やさないでおこうと思うはずです。
また、なぜ七割、五割、一割なのかも具体的に記載されていて、
なるほどと思うと共に、家族持ちの自分にとっては
「家族を説得する材料」までかかれていた気がして実践しやすいと感じました。
とにもかくにも、この手の本は「実践してなんぼ」なのです。

最後に断捨離とはという定義が文中にありましたので抜き出しました。

断捨離とは
モノの片づけを通して自分を知り、心の混沌を整理して人生を快適にする行動技術(P.005)。

ふむ、深い。
通常の掃除では出てこないような「自分を知り」という言葉の意味が、
読み終わってから分かりました。いい本です。

印象的なくだり

ここでガラクタやゴミを生鮮食料品に例えてみます。
捨てていないだけで、どっからどう見てもゴミというモノは
「腐ったハム」と同じです。
もはや食べられない(=使用できない)モノなのですから。
そしてゴミではないけれど、「不要・不適・不快」なモノ、
つまり食べられるけど賞味期限切れで美味しくないモノは、
「ひからびたハム」ということになります。
つまりガラクタです。
「ひからびたハム」は「もっと腐ってから捨てよう」なんて冷蔵庫に戻したりして。
臭いを嗅いで「まだ食べられる」と。
でも、いつまで経っても食べる気にはならないモノなのです。
でも捨てるには後ろめたい。
そこで、見えない密閉容器みたいなものできちっと密閉して
中に何が入っているかわからない、みたいな状態にしてしまう。
そうやって「開けるのが怖い」というほどに追い込んでしまうわけです(P.068)。

コレほど的確に「物が捨てられない人」の心情を表した表現はないのではないでしょうか。
そのとおりなんですよ、もう。

断捨離では基本的に「お客様用」という発想がありません。
自分が気に入って使っているモノをお客様にも使ってもらえばいいという考え方です。
自分が普段から気に使っているモノがすでに、厳選されたいいモノなのですから、
他人が使っても十分すてきなモノ、というわけです。
年に一度どころか、数年に一度のことにお金をかけるのは、
結局「見栄」なんですよね。

二晩泊まっていったとするならば、365日のうちたった2日の
非日常に過剰に重きを置いている状態。
大抵のお客さんたちは「客用のいい食器・寝具を使いたい」と思って
泊まりに来ているわけではないはずですから、
見栄を張らずに自然体でもとなすことが一番だと考えます(P.079)。

多くの整理術・収納術は「そうじ」の種類が曖昧なまま、私たちに提供されています。
以前、片づかなくて悩んでいるお宅に伺ったら、
買ってから4年もダンボールに眠ったままの掃除機が出てきました。
その方には「そうじ」=「掃除機」だったのでしょうけど、
溢れかえったゴミを片づけない限りいつまで経っても掃除機の出番はありませんよね。
断捨離では「そうじ」を、この「片づけ」と、
収納術である「整頓」と、
「掃く・拭く・磨く」の「掃除」とに大きく、
そして明確に、3種類に分けています(P.104)。

もとあった場所に戻すことを「整頓」と定義することによって、家の中のある場所にあったモノを違う場所に置き換えただけでは、モノの総量は変わっていないので片づけとは言わないらしい。断捨離の片づけとは、「家の中の不要なモノを家の外に出す」ということなのですね。

今日はどれだけの時間、断捨離に時間を割けるか。半日なのか、1時間なのか、15分なのか。その時間から今日断捨離したい場所をあぶり出していくという流れが効率が良く、取り組みやすい。つまり引き出し1個でもOK。もっと言うと、レシートが詰まったお財布の中からでもいいんです(P.131)。

モノが制限されていると、とにかく「掃く・拭く・磨く」がラクになります。ラクどころか楽しい!台所のお皿洗いでさえそうなります。洗いものの数も少なくなりますし、お気に入りの器というのは洗うのも楽しいんですね。「掃除」や「洗いもの」などの作業が苦手な人ほど、モノの絞り込みを徹底してみると劇的に気分がラクになるのを感じると思います(P.152)。

丸いグラス、四角いグラス、陶器のグラス。種類ごとに列に並べましょう。よく、これが混在していて、奥のモノが取り出しにくいために結局前にあるモノしか使わなかった、という事態になりがちです(P.158)。