『北のカナリアたち』

あらすじ

小学校の教師・川島はる。彼女が赴任したのは北海道の離島にある生徒6人の小さな分校だった。生徒たちの歌の才能に気づいたはるは、合唱を通してその心を明るく照らし、響きわたるその歌声は島の人々を優しく包み込んでいった。そんなある日、衝撃的な出来事が彼らを襲う。その出来事で島を追われ、生徒たちの前から姿を消すはる。「先生は俺たちを捨てたんだ」生徒たちもまたそれぞれが心に深い傷を残してしまう。
20年後、東京で暮らすはるに生徒の一人が起こした事件の知らせが届く。「なぜ、あの子が…」真相を知るため、北へ向かう。成長した生徒たちの姿に喜びながらも、20年もの間、それぞれがあの時に言葉にできなかった想いを抱え、生きてきたことを知り愕然とするはる。そして自身もまた、心に閉じ込めていた想いを生徒たちに明かしていく。凍てついていた感情が真実となって氷解する時、物語は感動のクライマックスを迎える。

観賞後の感想
おそらくクライマックスのシーンであろう、分校にみんなが集まってくるシーンには泣けました、ええ。
ただね、泣かす気満々だったのが、癪に障るところでした。
もう、ストーリーがてんやわんやだったのとは相対的に木村大作さんの素晴らしい撮影が非日常感を出していて最高でした。
いや、普通の帰り道なのにステキな風景を当てるとそれだけで絵になりますね(褒めてます

とまあ、良かったところは撮影技術くらいであとはもう・・・

まずストーリーからいくと、ちょっと配役に無理があるんじゃないかなと思いました。
吉永小百合こと川島はるは作中では定年の六十歳で、回想シーンでは四十歳を演じるのですが、実年齢が六十歳を超えているのに流石に四十代は無理があるかと・・・。
父親役の里見浩太朗との会話シーンは親子というよりも夫婦です。
また柴田恭兵・仲村トオルとくれば例の『あぶない刑事』しか浮かんできません。
今回二人の絡みのシーンはないので「関係ないね」は聞けなくて残念です。
で、ストーリーですが回想シーンが多くていまどっちの時代の話なのか結構混乱しました。
川島はると不倫相手の阿部英輔の出会いのシーンなんか突然過ぎて、最後まで意味不明でした。
あと、小池栄子演じる藤本七重と二十年ぶりに再開するのですが、「先生が不倫していたのを見てました」→「先生嫌い」→親友が怒鳴りこんでくる→実は七重も親友の夫と不倫してた・・・の流れがわずか数分で起こっていくのはちょっと失笑です。
生島直樹(勝地涼)と安藤結花(宮﨑あおい)も二十年ぶりに話して、いきなりハグして「好き」はないでしょう。いくらなんでも一気に瓦解しすぎです。

まぁ真のサユリストには目に毒なキスシーンもあったりして、何やら目のやり場に困ったりもしたのですが、主役はもうちょっと年齢が低い人にしないと話の辻褄ばかりが気になってしまいました、とさ。

おしまい。