『94歳から10代のあなたへ伝えたい大切なこと』
吉沢久子
読後の感想
90代のおばあさんが若い時にできなくてずっと後悔してきたことを
若い世代に是非とも伝えたいことを綴りました…的な、
茨木のり子さんの「わたしが一番きれいだったとき」的な、
感じを想像していましたが、純粋に空振りました。
どうやら著者が60年程前に書いた二冊の本を加筆修正したもので、
全て現在の著者からの視点ではありませんでした
(せっかくなら加筆した部分を区別してくれるとより良かったのですが)。
ただその中でも一番良かったところは
「「楽しさ」を感じる才能を育てましょう」という章でした。
この章を読んで、自らの生活(や子育て)に取り入れようと思ったことは
「今日は楽しかった、なぜなら○○だったから」と考えるようにしようと思ったことです。
いわゆる愛少女ポリアンナ物語の「よかった探し」です
(知名度がアレなのでたとえとして適当かは不明)
自分は割と悲観的に考える性質なのですが、
過去の評価については楽観的に捉えるようにしています。
この性格によって、人生において比較的辛い時期も
割と楽観的に過ごせてきたような気がします。
その意味でも、自分の子供にはこういった性格(というか才能)を
身につけてほしいなぁと思いました。
惜しいというか残念なところは、こうこうしましょうと
書いているにも関わらず、具体的にどうすればいいのかが
殆ど無く抽象論(と精神論)に終始していたことです。
というわけで、一冊の本を熟読する時代ならいざ知らず
いまの時代とはやはり合わないなぁと再確認したのでした、残念。
印象的なくだり
友だちの助言者になるためには、むしろ、人の気がつかないような、美点を探し出してあげればいいのです。
ノロマな人には、落ちついたよさがあるかもしれません。
他人のあらさがしをしても、自分を育てることにはならないでしょうから(P.029)
大きくなるにしたがって、先生から絵かきに、それから学者、お医者さんなどと、なりたいものが変わっていったのは、ちっともかまわないと思いますが、どうしてそういうものになりたいのか、はっきりとした目的をもたなかった私は、賢くなかったと思います(P.064)