「八日目の蝉」

八日目の蝉
監督 成島出
脚本 奥寺佐渡子
原作 角田光代
製作総指揮 佐藤直樹
出演者 井上真央
永作博美

あらすじ
不倫相手の家庭から赤ちゃんを連れ去り、実の子として育てる物語です。

鑑賞後の感想
「そして、父になる」を父親の視点からの描写が多いことに比べると、こちらは母性の象徴とも言えるようなシーンが多く登場しました。

多感な時期である幼児期を養母と過ごしたので、実母としっくりこないという難しい心理描写を演技で見せるのは本当にすごいことだと思います。と、同時に子供って自分のせいだって思いがちである、ということにも気づき、ドギリとしました。

登場する男性が総じてクズが多く、嫌な気持ちになりましたが、母性の相対的に持ち上げる意味合いが強すぎだったのかなとも思いました。特に、田中哲司さんの役。

タイトルの「八日目の蝉」は、おそらく普通じゃない育ち方をして、他の人では見えなかったものが見えたり、経験できなかったことを経験した、という意味なのかな、と感じましたが、どうなんでしょうね。

過去の回想と現代がパラレルに進むので、途中で混乱してました。あれ?いまどっち?みたいな。
特に後半の、永作博美さんからすると幸せな生活が終わりを告げる結末を知っている身としては、本当に続きを見るのが辛かったです。
(でも、ランドセルを見る目つきから察すると、戸籍のない娘がどのようなことになるかは知っている、と連想できるような気がします)

そして、永作博美最強説について。
誘拐といつ犯罪であるという意識を常に持ちつつ、幸せな子育てを送りたい、という、いわば造反した感情を込めた演技で最高でした。外向きの顔つきと娘に対する顔つきが全然違うもんねー。