『「はなまるうどん」激安商売術』

『「はなまるうどん」激安商売術』
講談社
前田英仁

読後の感想
閃いたことを実践し、検証して、修正する。そして常に顧客の視点で考えるということが肝なのかと思いました。内容自体は他の経営者の書いていることと大差はないと感じました。
ただ、うどんを選んだ着眼点はすごい。
外食産業ってのは、時代の流れも味方につけないといけないんだなぁとしみじみ。

印象的なくだり
香川県民にとってうまいうどんとは、わかりやすく言うと「臼歯で噛んでも噛み切れないが、犬歯でかむと噛み切れる。かといって、硬いというのではないうどん」ということになる。
讃岐の方はうどんをあまりかまず、「うどんを飲む」と表現するが、本当においしいうどんというのは、2~3回咀嚼すると、のどに飛び込んでくるのである(P036)。

そばとうどんでは、だしの吸着力が全く違う。そばに比べてうどんは、かなりのつゆを吸う。
だからうどんは薄味の、風味豊かなだしのほうがマッチする。逆にそばは少々濃いめのだしでないとおいしくない(P058)。

多店舗化する場合には、さまざまな意識や価値観の人が現れる。味や食感をとってみても、甘いのが好きだとか、硬いのが好きだとかまちまちだし、「丁寧」という言葉も、それだけでは、私は丁寧と思うけれども、他人からみるとぞんざいということが生じる。
それゆえ価値観の統一は徹底して進めていかないと、店はたちまちバラバラになる。
そこで、抽象的な言葉は極力排除し、うどんのゆで時間はこう、だしの比率はこう、丁寧とはこういうことである、と具体的な言葉や数字で標準をひとつずつ決めていった(P140)。