考具―考えるための道具、持っていますか?
加藤昌治
読後の感想
日ごろ思いついても流れていってしまうフローの情報をいかにせき止めて形にするか、という点に重点を置いて書かれた本だと感じました。
視点をずらす、などちょっとした工夫の積み重ねが大きな差を生むことを本を通じて教えてくれているようで、気持ちが暖かくなりながら読みました。
あとがきの「読んで、分かって、やらないこと」のくだりにドキッとした人は多いことでしょう。
自戒の意味を込めて、また読みたい本です。
企画書について中心的に書かれていますが、決して企画だけにしか通じない内容ではありません。
印象的なくだり
人の話を聴くことのもう一つの効能は、他の誰かの生活をほんのヒトコマですが共有できることにあります(P059)。
同じことを何度もメモしてしまうこともよくあります。
本当に物覚えが悪い……と落ち込みますが、仕方ない。
また出会えて幸運を喜んで、メモしておきましょう。
きっと自分にとってそれだけ重要な情報なんですね(P063)。
企画が実施されたとき、何がどうなっているのか?
何かを製作したとしたなら、それはどんな姿・形をしているのか?
プレゼンしているあなたがイメージできないのに、話を聞いただけの相手が想像図を頭の中でうまく結べるはずがありません(P179)。
自分が描いている「絵」と相手の「絵」が同じになったら、あなたの企画書とプレゼンテーションは大成功です(P190)。
言葉で伝えられる状況になかったり、相手にとってあまりにかけ離れた世界を創造してもらわなければならないのなら、補足説明をしてビジュアルをつけてあげたいところです。
予算があれば、ゼロから起こした想像図。
なければ似ているもの、世界観を伝えられるような写真が威力を発揮します(P190)。