『すべては一杯のコーヒーから―Short latte,tall cappuccino,and grande passion』
新潮社
松田公太
読後の感想
熱い、熱いです、この人。
起業をしようとしている人なら一読すべき。
辛い時、苦しい時を乗り越える糧になると確信しました。
この本を読むと、何より自分を信じている人が一番強いと思うようになりました。自分もこんな人になりたいと思ってやみません。
何かを始める時に読み返したい一冊になりました。オススメです。
印象的なくだり
「夢」と「目標」は全く別物だと考えている。目標とは、具体的な計画に基づいて、自分の実生活の羅針盤として必要なもの。
一方の夢とは、たとえ具現性が乏しいとしても、思い描くだけで心が満たされるものだと思う(P007)。
一号店をつくるために、生まれて初めて七千万円もの大金を借りた。私は借用書に印鑑を押す前に、自宅近くのコンビニエンスストアを回った。
そしてアルバイトの募集状況と時給を調べ、一日十五時間働けば、三十年程度で借金の返済ができることを確認した。
別に失敗したからといって、命まで取られるわけではない。
後は自分の力を信じて、挑戦し、最後まで諦めないことだ(P140)。
私はマネージャーフェローたちにこう言っている。
「アルバイトフェローを叱るときは真剣に叱りなさい。そのとき、なぜ叱ったのか理解してもらうために、徹底的に理由を説明してください。そして、何よりもまずアルバイトフェローを好きになること。彼らに成長してもらいたいと心から思うことが大切なのです」
マネージャーとは、お客様だけでなくアルバイトフェローまでも愛さなければ務まらない仕事ということなのだ(P196)。
能力がある人と情熱がある人、どちらを採用するかと問われれば、私は迷わず「情熱がある人」と答える。
他の業界はどうか知らないが、タリーズのような飲食業では、情熱さえ持ち合わせていれば、人は必ず成長できると信じている。
飲食業では、商品と同じくらいにコミュニケーション能力が重要だと思う。
言い換えれば、どんなに能力が高くても、人が好きでなければ務まらない仕事なのだ。
私は常々、店舗のフェローに向かって「同僚もお客様も全員好きになろう」と言っている。
もちろん、誰しも周囲の人すべてを好きになるのは難しい。しかし、まずはそういう気持ちで人と接していれば、何かが変わると信じている。
フェローがお互いを好きになれば、店内のオペレーションがスムーズに運ぶようになるし、お客様を好きになれば、自然とサービスだってアップする。
行列で待たされてイライラしている人を見つけた場合も。その人が好きであれば、少しでも気分をほぐしてあげたいと思うだろう。
そうしたとき、フェローが話しかければ、行列待ちの苦痛だって和らぐというものだ(P206-207)。
人は成長するための努力を止めてはならない。成長するのを止めたとき、つまり現状に甘んじた瞬間から、衰退が始まってしまうからだ。
どんなに物事が思い通りに進んでいようとも、その状況が永遠に続くことなど有り得ない。常に次を見据えて、備え、行動を起こしていく必要がある。
苦しい将来を想像して、悲観的な気持ちになるということではない。
自分が成功している素晴らしい未来を思い描き、楽しくまた緊張感を持って、次なる挑戦に向かって走り出すということだ(P226)。
会社を始めて以来、嬉しいこと、悲しいこと、苦しいこと、楽しいこと、本当に様々なことを経営を通じて経験してきた。
以前から感じていたことだが、特にここ数年で痛感するようになったのは、人間の弱さである。ダイエットひとつ取っても一人でやり遂げることは難しい。
また、自分のミスや自分の弱さ、不出来を認められずに、言い訳をしたり、他人のせいにしたりする人がいかに多いことか。
この点は私も常に自戒している。だからこそ、たとえ会社が順調に成長していても、経営者として常に自分を追い込む姿勢が大切だと思う(P304)。