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「歌舞伎町」
権徹
読後の感想
これは本というよりは、むしろ写真集。
それもノンフィクションもので、ものすごい長い時間を掛けて作られたドキュメンタリー映画のような印象を受けました。
著者は写真家。1996年ごろから歌舞伎町を撮り始めた。
歌舞伎町は、人間の生臭さや欲望がむきだしの街だ(P.020)
といいつつ、歓楽街の顔、事件現場の顔、表の顔と裏の顔を撮りつつ綴る。
一章まるまるコマ劇場だけの章があるのですが、これは少しせつない。歌舞伎町で、育つ子供たちの写真も多く出てくる。
同じ年頃の子供を持つ身としては、この街で育つことが、この子の将来にどのような影響を与えるのだろうか、考えざるを得ない。
もちろん、悪い意味だけではないはずなのであろうが。
内容としてはほぼ写真の力で、文章はオマケみたいな感じでした。
とにもかくにも写真を見よう。
印象的なくだり
交番に駆けこんでもすぐには動いてくれない。駐車違反を見ても忙しいからなのか素通りしている。
だが、「110番通報」だとすぐに現場に駆けつける。警官個人に言うよりも、「組織」に直接言ったほうが早いのだ。法律違反者を拘束できる強い権限を持っている彼らも、サラリーマンということなのだろうか(P169)。
歌舞伎町での若い女性の自殺の8割はホスト絡みだという(P197)。