『「伝説の社員」になれ!―「成功する5%」になる人の秘密とセオリー
』
2007
草思社
土井英司
読後の感想
去年から本が好きな人の間でちょくちょく名前が挙がっていたので、気になって読みました。沢山本を読み込み、それを売る立場の人だけあって、様々な本のエッセンスが詰まっていて非常に読みやすい本でした。
特徴的だったのは、若いうちは経験を詰めと口を酸っぱくして言っていること。著者の体験が物語っていたのですが、そのエピソードが非常に分かりやすく説得力に富んでいました。まぁ、要するにきっかけ作りをしてしまえばあとはなんとかなる、とも読めます(笑)。
もう一点は、たまたま自分の体験で恐縮ではありますが、去年一年は本を書く側の方とお会いする機会があって、読者側からすると最初は少し違和感を感じていました。しかし、次第に著者の人と会うのが楽しくなって、ある時からこの原因はなんだろう、と考えるようになりましたが、その原因をうまく言語化できないでいました。
その答えの一つが本にありました。「一流の人にふれることにもうひとつの利点は、素直に負けを認められる、ということです(P.045)。」です。この一文は胸にすっと落ちていくものを感じました。
自分は著作業という世界では、敵わないなぁ、と実感が出来たからです。
印象的なくだり
今のあなたにとって必用なのは、出世したり、高い給料を追い求めることではないのです。一生を通じて自分がケアし、それによって自分も成長できる、そんな対象を見つけることなのです。
あなたが若くても、平社員でも、目先のことにとらわれそうになったら、ちょっと大きな視点で仕事を見つめてください。働き方、そして生き方が、きっと変わります(P.023)。
一流の人と出会い、つきあうことの利点は、情報をもらえる、何かトクがあるということではありません。
「この人には絶対に敵わない」と実感できることです(P.043)。
「若いうちは可能性がある、だからなんでもできる!」
これは人をはげます際、よく耳にするセリフです。ポジティブな言葉ではありますが、あれもできるかもしれない、これもできるかもしれないと、いたずらに手を広げて、結局なにひとつモノにできないままでいる人は多いのです。
社会に出たら、自分ができることの可能性を、どんどん、せばめていってください。せばめていくことで、自分のできることに特化していきましょう(P.045)。
一流の人にふれることにもうひとつの利点は、素直に負けを認められる、ということです(P.045)。
お金を残して死ぬのは一見かっこよさそうですが、実は生きている間に有効に使えなった証拠でもあります。人生とは金と時間で成り立っているのですから、自分への投資、人への投資、寄附など、使い道はいくらでもあります。
子孫に残すなら、キングスレイ・ウォード氏の名著『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』(新潮社)にあるように、生きるための知恵を残すといい。
あるいは、野口悠紀雄氏の『「超」納税法』(新潮社)にあるように、教育で残すのも賢明な方法です(P.052)。
成功する方法は明日には陳腐化しますが、失敗の要因はいくつかにまとめられるからです(P.092)。
異業種交流会もそうですが、セミナーでは講師に近づくのではなく、目の前の参加者に注目し、話し、名刺交換をしてください。
彼らのなかには、必ずあなたと一緒に伸びていく人がいます。
これからの成功をつくり出す近道は、すでに成功した人に近づくのではなく、一緒に組める身近な人を探すことです(P.103)。
一人の人間を適切に表現するためには、観察力、表現力、場の雰囲気や相手のニーズを読むといった高度な技術を必要としますが、ハマったときの効果は絶大。やらない手はありません。
紹介した人に強い印象を残すだけではなく、紹介された本人も喜ぶのは確実。
「この人、僕のこういうところまで見てくれているんだ」
「そんなにほめられるほどではないのに」
そんな感想を抱くはずです。つまり、人前で自分を「上げ」てくれ、なおかつ人も紹介してくれるあなたは、ビジネスパートナーにとって、価値ある人間に間違いないということなのです。
人は、自分に興味をもってくれる人に自然と好意を抱きます。
同時に、ビジネスの場では「役に立つ」と思う人に好感を持つのです。
古今東西の成功者はこのセオリーを知っていたからこそ、独自の「上手な紹介フレーズ」を用意し、ビジネスの場で駆使していたのかもしれません(P.135)。
単に好かれるより、仕事や人格そのものに関心をもってもらうほうが、つながりは深くなります。関心をもってもらったら、つねに変わらない自分の強みや「核」となる部分を見せて、信用してもらうのです。
信用を築くには、「いい人」では意味がありません。
とくに、人脈を広げたければ、好かれることより信用されることを目指しましょう(P.166)。
明日から実践してみようと思ったくだり
一緒に仕事をしている人を誰かに紹介するとき、単に名前を言うだけでは意味がありません。
「○○さんは、△△の分野でとても優秀なんですよ」と具体的なほめ言葉を添えることではじめて、強い印象を残します。紹介された人は、その人の価値がわかるし、そんなすばらしい人を紹介してくれたあなたにも感謝します。
紹介する人、される人、双方がいい印象をもつことになるのです。
ところが、名刺交換会や異業種交流会など、紹介したりされたりという数が多い場合、「優秀な人」がやたらに多すぎて、結局、相手の記憶に残らないケースもあるようです。
つまり「優秀な人」というのは、本気にしてもお世辞にしても、抽象的なほめ言葉ということ。
そこで、「こに人は、どこがどのように優秀なのか」を、一言で言えるようにしておきましょう。そうすれば、ほめ言葉よりは確実に、紹介相手だけではなく、紹介される本人にも意外な驚き、嬉しさをもたらします。
「○○さんは、先日、この分野でこんな成績を上げたんですよ」
「わが社のあのヒット商品は、彼のアイデアがもとなんです」
仕事の上での優秀さだけではありません。
「彼がいると、場がすごく、なごやかになりましてね」
「彼女の出してくれるお茶は、なぜかすごくおいしくて」
「新人たちに、すごく頼りにされているんですよ」
一人一人の長所となる特徴を、キャッチフレーズ的に考えておいてもいいのではないでしょうか(P.134)。