『ストーカーの心理』

『ストーカーの心理』
講談社
荒木創造

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【中古】ストーカーの心理 / 荒木創造
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目次
ストーカーとはどんな人種か
ストーカーたちとの奇妙な出会い(女子学生を追う大学助教授)
服役したコンピュータ技術者
女ストーカーの訪問
青春をストーカーとして生きた女
あなたの息子をストーカーにしないために―ストーカーを生む社会と家庭

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読後の感想
著者はストーカーを「片思い型」と「別れ話のもつれ型」に分類してその特性を探っている。
面白いのは著者が直接ストーカーと話を聞きながらその分類と考察を深めていく方法です。
聴取はフィールドワークの典型だが、ここまで徹底しているのも珍しいと感じた。
実際、本書の内容の大部分は聞き取り内容です。

しかも、加害者・被害者の話を両方聞いているのです。
著者が公開した電話番号に加害者・被害者問わずにかけてくる人が多いというのは、
(今と違って当時は)それだけ窓口が少なかったということをあらわしているのだなぁと感じました。

ストーカーの目的が単に怖がらせるだけではなく、
誰の手によるものか、までを伝える点にあるというのは、ある意味納得。

自己顕示欲と征服欲、そして自己愛のなせる業でしょうか。

印象的なくだり

金を要求するのが特徴だ
また、男のストーカーも女のストーカーもストーキングし始めると、そのうち必ず金を要求し始める。
私は金を要求し始めたとき、「ああ、この人はやっぱりストーカーだったんだな」と思うことにしている。
それほど、この金銭の要求はストーカーによくあることなのである。
だが、ストーカーはなぜ被害者に金を要求するのだろうか。
彼らのこの行動の裏にはストーカー心理の多くが隠されているような気がする。
まず、ストーカーというのは、状況からだけ言えば、付き合っていた相手が自分から逃げていこうとしているわけで、
自分がどんな危険なことをしていても、自分こそが被害者だと信じていることが非常に多いのである。
「自分は被害者なんだから、慰謝料のような形で相手に金を要求するのは当然だろう」という気持ちになっているのである。
次に、ストーカーというものは未練がましくも、心変わりした相手を必死になって追いかけるというみっともない行為をやっている間に、
見栄もプライドも消えてしまい、平気で「おまえとの付き合いで使った金、全部で一五〇万円返せよ」とか
「わたしはあなたの望むまま寝たわけだから、ソープかなんかに行ったと思えば、全部で二〇〇万円あなたに貸したことになるのよ」などと
要求できるようになるのである。
また、ストーカーは裏切られ、傷つけられた相手に復讐をしたいという一心で金を要求してくることもある。
ある程度以上の金を工面して渡すということは、よほどの金持ちでもなければ、大変なことだし、悔しいことでもある。
ストーカーは被害者にこの悔しい思いをさせたくて、多額の金を要求してくるのである。
金を脅し取ることによって、自分は相手に勝ったと思え、捨てられて傷ついた心を少しでも癒そうとしているのである。
いずれにしても、法的根拠などはなにもないのに、相手から金を脅し取ろうとすることは、
相手を破壊しようとする行為の一部であり、ストーカーが被害者に金を要求し始めるとき、
彼らの心のなかでは相手への憎悪が沸騰点に達し、見栄やプライドや人間的な心や
社会的常識や理性さえも消え始めていることを意味するのである。
ということは、彼らはとても危険なことを始める一歩手前にいるということだろう(P.024)。

「(前略)、人に相談し助けを求めるときは、自分の悪い点、自分の責任もちゃんと認めて話さなければだめですよ。
一方的に相手だけを責めていると、人はあなたのことを自分勝手な人だと思って、理解者や支援者になってくれるどころか、あなたの敵にさえなりかねませんからね」と、私は誰にでも言っていたが、この責任もちゃんと認めるということは、助けてくれる人を見つけるためだけではなく、被害者がその後意志を強くもって、しっかりした行動をとるためにもとても重要なことである(P.035)。

男に暴力をふるわれないためには、男が少しでも暴力をふるったら、絶対に許さないという態度をとり続けることだ。
まわりの人には、「この人、女に暴力をふるうのよ」などとかはっきり言ってまわり、デートのときも男が土下座して謝るまでブスッと怒った態度を貫くのである。
こういう女性にはその男は二度と暴力をふるわなくなるだろう。
しかし、ことはそんなに単純ではない。
たしかにこういう女性は男の暴力から自分の身を守るということには成功するだろうが、他人に向かってすぐに自分の男の暴力性などを公言してまわる女性には男はうんざりして、夢も愛も冷めてしまうことが多い。
ということは、女性が自分の男の暴力から身を守ろうとするとき、彼女たちは男の愛をも失うことを覚悟していなければならないということになる。

正に、ここに夫婦や恋人の間の暴力の問題のむずかしさがあるのだ(P.089)。

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