見てきました。映画版『ゼロの焦点』。
はっきり言って原作に思い入れがあります。
なんといってもわが故郷石川県を舞台にした映画。しかも、ラストシーンのヤセの断崖、能登金剛は、父の実家のすぐそば。津幡、鶴来、松任など懐かしい単語が目白押しなのですよ。
ちなみに自分が松本清張に嵌るきっかけとなったのは、この作品ではなく『点と線』なのですが、もちろん『ゼロの焦点』も大好きです。
そんなわけで、レビューです。ネタバレ注意。
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まずは、中谷美紀の演技。すげぇ。女優やのぉ(いい意味で)
車を運転するシーンなんか怖くて危うく泣くところでした(比喩です)。
佐知子役は文句なしです。mind circusの時には、桜っ子クラブ次回から打って変わって、いい声だなぁくらいしか思っていませんでたが、いつの間にやら女優だったのですね。
広末は、どうなんだろうね。もっと幸薄そうな人が良かった気がしないでもないんだけど、どうなんでしょ。原作でもそうだけど、あくまでも狂言回しなので、もったいない気がしました。
木村多江も文句なしです。能登の方言はもっと垢抜けないんですけど、そんなことは感じさせない雰囲気でした。きっと久子役の薄倖ぶりが際立ちすぎて、広末の評価がなんだかなぁという感じでしょう。
で、内容はというと。
清張生誕百周年ということですが、この手の加えかたはないでしょ~。生きてたら怒る気がする。
新キャラ(笑)の鳴海享の存在意義が最後までハテナでした。多分ラストシーンから察するに、狂言回し的な役割と佐知子の生まれの不幸を際立たせるためなんだろうけど、一人だけタイムスリップしたみたいな演技はいただけないなぁ。
儀作の役回りも不明。不器用に妻をかばう人、であれば最初の煉瓦工とのやり取りは良く分からん。
もともとあらすじがしっかりしているだけにちょっと手を加えることによって、台無しになった気がしないでもない。本多さんが死ぬ理由は一つもないじゃん(原作でも死んでいない)。あと所長も腹に一物ある御仁風に演じてたけど、何にもないのかよっ。逆に選挙の関係は加えて正解だと思った。ちなみに金沢は超保守なので、違和感ありまくりでしたが(笑
もちろんきちんと作りこんでいて(CGとか)、最初の新聞記事が移り変わっていくシーンも、ちゃんと複線とか張っていてみていて丁寧だなと思いました。なんだかんだ文句言いながらあっという間の二時間でしたよ。雷や光を効果的に使っているのは、映画ならでは、と思いました。あと回想シーンと時間軸の流れを交互に使う表現は秀逸。
全体的に良く出来た話だと思うけど、思い入れがありすぎて正当な評価が出来ませんでした。方言とかひっかかりまくりだった。
そうそう、最後の中島みゆきは鳥肌ものでしたよ。
どこでロケをしたんだろうと思ったら韓国だったのね(駅とか?
ちなみに1961年版の自分の感想はこちら
『ゼロの焦点』
2006年12月04日 01:181961年作
原作小説を先に読んでいないと多分良く分からないと思う。ま、95分にまとめるのはかなり無理があったんだろうなぁ。その分原作に忠実。
モノクロではあるが、北陸の暗い海などはかなりうまく表現されており鬼気迫るものがあって非常によい。自分の生まれる前の金沢や富来、鶴来などが出てきてちょっとホロっときた。松任はまだ「町」だった。
高千穂ひづるの演技が冴え渡る。綺麗な人だなぁ。
←11/15訂正
原作では本多さんが死んでいないと書きましたが、誤りです。原作でも殺されています。記憶違いでした、ごめんなさい。untenさんご指摘ありがとうございます。
おひさしぶりです。僕もたまたま昨日見ました。
そして、感想はだいたいふくしげさんと同じです。広末よりも他の2名が秀逸だった事と、ストーリーとか変わっているやんけ!です。展開もめまぐるしく2時間でもまとめるは大変だったのだなと思いました。
でもラスとあたりはかなりよかったですね、
緊張感があって。
弟の存在はわけわかりません。
ちなみに原作で本田は殺されてます、ただ殺され方が全く違ってます。赤いコートの女を強調するためにああするしかなかったのかなと思いました。