『悪の経営学 キレイごとじゃない”真”の経営学』
大村大次郎
読後の感想
元国税局職員という触れ込みの著者の「悪の会計学」「悪の税金額」に続く「悪の」シリーズ三作目。
といっても、脱税指南本ではなく、既存の制度、仕組みを法律の範囲内で有効活用し、なおかつ国税局職員の心理面からのアプローチ(いわゆる裁量や職員のノルマ)を含めたという意味で、よくある資格者(税理士)が書いた本とは、「実務的である」という意味で一線を画していました。
但し、本当に大丈夫か?という確認は絶対要りますね、この手の本は。
あっという間に税制度も変わるし。
経営者視線で描かれていたので、給与所得者の自分にストレートに使える部分はそう多くなかったのですが、社員の不正を見抜く方法というくだりで
抜き打ち検査は無作為に抽出し、深く検査する(P.102)
は参考になりました。ごまかしは広く浅くでは分からないということですな。
印象的なくだり
経営がうまくいくまでは、どんな経営者も必死に自分のため、会社の利益のために働いているのです。
松下幸之助だって、今でこそ”社員を大事に”とか、”社会のために”などと殊勝なことをいってきたという記録が残っていますが、バリバリの経営者だったころは、大阪の主婦から不買運動を起こされたこともあります(P.19)。
まずは自分と従業員が食えるようになってから…ですな。
彼らが好きなことをしてうまくいっているのには、大きく2つの要因があると思われます。
1つは、好きなことやっているのだから、それに対する習熟度が高く、情報なども豊富に持っているということです。つまり、”好きこそものの上手なれ”ということです。
それともう1つは、好きなことをやっているのだから、苦難に耐えられるということです。人は好きなことをしているときは、多少の障害があっても諦めません(P.21)。
経営者たちが最低限押さえている決算書の重要な数字を挙げましょう。
売上⋯これはもちろん、その事業で、売上がどのくらいあったかという数字です。
利益⋯これは、売上から原価、経費を差し引いたものです。
役員報酬⋯これは、経営者がどのくらい報酬をもらっているかという数字です。
現金預金⋯これは、会社に今、どのくらいの現金と預金があるかを示す数字です(P.29)。