ブレックファスト・クラブ
(The Breakfast Club)
監督・脚本
ジョン・ヒューズ
出演者
エミリオ・エステベス
ポール・グリーソン
アンソニー・マイケル・ホール
ジャド・ネルソン
モリー・リングウォルド
アリー・シーディ
音楽
キース・フォーシイ
あらすじ
いわゆるスクールカーストが異なると言うのだろうか、タイプが全然違う五人が、仮想敵である教師に対して反感を共感しつつ、少しずつ自己の本音を開示して、心が寄り添っていくストーリーが「甘い」。
自分が大人になったからなのか、間合いが分からず踏み込みすぎて相手を傷つけたり、あからさまに強がったり、揺れ動く不安定な思春期の心情が、誰かとぶつかったり、くっついたり、が印象的でした。
「ガリ勉(a brain)」ブライアン・ジョンソン(演: アンソニー・マイケル・ホール)
「スポーツ馬鹿(an athlete)」ジョン・ベンダー(演:ジャド・ネルソン)
「不思議ちゃん(a basket case)」アリソン・レイノルズ (演:アリー・シーディ)
「お姫様(a princess)」クレア・スタンディッシュ(演:モリー・リングウォルド)
「チンピラ(a criminal)」アンドリュー・クラーク(演:エミリオ・エステベス)
土曜日に図書館に集められて「自分とは何か」の作文を書くという、ていのいい身体拘束。
鑑賞後の感想
思えば、自我がきちんと確立するには、「相手は自分とは違う」と明確に相手を尊重することが第一歩かなと思いますが、思春期はそれが出来ず、相手の気を引こうとして、却ってトラブルになってしまうことが多々あります(ありました)。
この映画の前半部分は、相手の感情を揺れ動かすことから始まります。相手にけんかをふっかけて反応を楽しみたいもの、動揺を誘いたいもの、マウンティングをしかけるもの、嘘をついてだまそうとするもの。
不思議ちゃんことアリソンに至っては、前半の30分は一言もしゃべりません。なのに、この存在感凄すぎ。
相手との違いが分かりやすく表現されていたのが、ランチタイム。
お嬢様は寿司、しかも醤油持参。スポーツマンはめちゃくちゃ量を食う、それを「どんだけ食うんだ」とあきれるお姫様とチンピラ。不思議ちゃんは、ビーガンなのかサンドイッチからハムを避けて、スティックシュガー三本分とシリアルを挟み、パクつく。他の4人は、なにそれ?という顔をしている。
このシーンはまさに、彼らが普段別々のカーストに属していて、そのカーストでは当たり前のことをやっているに過ぎないことを分かりやすく表現していました。
個人的一番の山場は、ガリ勉の「月曜日に会ったらどうする」の問いに、お姫様が「無視する」と答えるシーン。
お姫様は、リ勉からの問いに対して、本音を言うと相手を傷つける、けど、本音に対しは本音で答える、を貫いています。たとえ相手を傷つける内容であっても、その意味では真摯に向き合っているのだぞ、と言わんばかりのシーンが最高でした。
この問いをするまでもなく、ガリ勉は、この友情がその場限りのものだと知っていた。にもかかわらず、相手にそれを確かめたかった。
なぜだろうか?
おそらくガリ勉が一番自己開示が苦手。他のメンバーに比べて、きちんと勉強ができる分、インプットが多すぎて、アウトプットが少ないのではないかと思う。
この映画、もっと若い時に見ておいたほうが良かったのだろうか?
いや、きちんと年を重ねてみたほうが良かったと思う。
自分がもっと若い時だったら、彼らの感情の動きや相手を傷つける不器用さを、はっきりと言語化することは出来なかったと思う。
最高のシーンはマリファナを吸おうとするシーン、好奇心を押さえきれない、でも、パパには怒られちゃう、どうしよう、周囲を見回す、一人また一人、どうしよう、、、。このくだり泣きました。わかる!
控えめに見積もっても青春映画として最高の出来です、オススメ。
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