『考える技術』
講談社
大前 研一
読後の感想
論理力が人を動かす、事実を積み重ねて論証する。相手の求めていることを的確に判断するなど、コンサルの人らしいなぁと思う記述が満載でした。
考える技術は、一朝一夕で身に付くものではなく、常に仮説と確認、反復と継続をしていかないとダメというのは当たり前だけど、重い言葉でした。
なにより行動が具体的です。
ちなみにblogによると、この本を購入したのは2008年4月3日、一年半以上積読になっていたわけですが、ようやく読めました。
というよりも、積読になっていたから読めたわけであり、そもそも購入していなかったら読むこともなかったわけです。というわけで、積読万歳(←結論
印象的なくだり
繰り返すが、問題解決に必要なのは、まず事実を認めた上で「正しいことは何か、なすべきことは何か」と考えることである。たとえ社長が反対の立場であっても、それを説得する勇気をもつ。どんなに相手が嫌がっても、事実に対しては忠実になる。これが問題解決の代原則である(P124)。
同質性のある中で、さらに立場や部門、あるいは派閥によって、より同質性の強い人間だけで固まる癖がある。そこでは居心地のよさ、同質性の維持こそが第一の命題になってしまいがちだ。だから会社が非常に大きな問題に直面したときに、事実を素直に受け止めて、それを自分や自社にとってのチャレンジだと思ってぶつかっていく精神がないし、そうしたトレーニングが日本人および日本企業の中には、ほとんどないと言っていい。たとえば、雪印乳業が北大の農学部を中心にまとまっていたのは薄気味悪いくらいである。卒業年次で会社の順列が決まり、会社存亡の危機に襲われたときには、もろくも崩れてしまった。
対照的なのはアメリカで、もともと異質な人たちがいるうえに、中西部と東部と西部ではカルチャーが全然違う。あらゆる人種や民族が集まっているし、宗教を見ても多種多様だ。たとえば一○人のチームを組むと、集まったメンバー全員が違う背景を持っていることも珍しくない。
彼らは学校時代から異質な者同士の集まりの中にいるから、自然と問題を解決していくトレーニングのチャンスが多い。世界企業を運営していくとき彼らのほうに一日の長があるのは、ある意味で仕方のないことだろう。
だからこそ、日本企業の中でもトヨタのように世界のトップで戦っている会社は、常にトップが新たなチャレンジを掲げ、社員たちは皆「自分たちが一つでもサボったら、明日にも潰れるかもしれない」という危機感を共有している。日本一の収益を誇る会社が、ほかの会社よりもむしろ危機感を持ってやっているのである(P127)。
「考える」とは、つねに質問をし、自分で答えを一生懸命に見つけると
いうことだ(P204)。
『考える技術』大前研一