『ギャルとギャル男の文化人類学』

『ギャルとギャル男の文化人類学』
荒井 悠介
新潮社

読後の感想
文化人類学とまではいかないけど、フィールドワークを基にした非常に珍しいジャンルを対象にした社会学書。
新書なのでしょうがないが、非常に内容が薄い。
しかも研究の内容が薄いのか、そもそも対象が薄いのかが分からないくらいの薄さ。
内容も平板で引っかかりも特になく、あぁそう、の一言でした。
強いて言えば、リスクへの言及が面白そうだったのですが、筆者としては余り興味がなかったのか、さらっとしか触れられておらず残念。
出来れば体験のみではなく、それを考察していければなぁというところでしょうか。
本の内容とは関係ありませんが、読み進めながら根拠のないエスノセントリズムは身の滅ぼすということを強く感じました。

印象的なくだり
(前略)サー人は、本音と建前を使いわけることが、特徴の一つとして挙げられる。サー人は自分の「キャラ」を作り、「キャラ」という建前で周囲とコミュニケーションをはかる。本音を隠す人間も多く、またその「キャラ」の裏側にある本当の姿に関しては、お互いに詮索しないという暗黙のルールがある。親密な関係を求めているのは確かだが、それもお互い「キャラ」を流通させることで成立していると言える(P.173)