『バフェットの教訓―史上最強の投資家 逆風の時でもお金を増やす125の知恵』
徳間書店
メアリー・バフェット, デビッド・クラーク, 峯村 利哉
読後の感想
儲かる分かりやすい方法なんかは決して書いてありません。というか、ありません、という内容。投資だけではなく、バフェットの心構えや生き方などが、その語録に如実に表れており、非常に参考になりました。
誰も知らない金の卵を発見するのではなく、きちんと価値のあるものを、安い価格で手に入れて、長く保有する、という昨今のトレンドとは反対のやり方ですが、長期的に見ると成功なのでしょう。そもそも長期的に見る、という視点が最近は欠けているのかもしれませんね。
印象的なくだり
ルールその一、絶対に金を損しないこと。
ルールその二、絶対にルールその一を忘れないこと(P012)。
高い知性をそなえ、大きな成功をおさめ、人生で巨万の富を築いた事業家たちが、自分で投資する金もないような貧しい株屋の助言を受け入れてしまう状況に、ウォーレンはつねづね違和感をおぼえてきた。
(中略)
往々にして彼らの目的は、他人の金をつかって自分を金持ちにすることなのだ。助言に従った結果、誰かが財産を失ってしまったら、いったい彼らはどうするのだろうか?助言を買ってくれる別の誰かを見つけてくるだけである(P026)。
ウォーレンは、どうせ同じ経営エネルギーと資本を費やすなら、貧弱なビジネスを安物買いして魔法の接吻をするよりも、経済的にすぐれたビジネスを適正価格で買うべきだと信じている。人生のなかで何匹かのカエルに接吻してみたあと、彼は後味があまり良くないという結論に達したのである(P053)。
成長に大量の資本を必要とするビジネスと、成長に資本を必要としないビジネスとでは、天と地ほどの差が存在する
これこそがウォーレンの永久保有戦略の肝である。成長に大量の資本を必要とするビジネスでは、たとえ株価が上昇したとしても、株自体の価値はけっして上昇しない。なぜなら、競争の波を食らって沈没しないためだけに、絶え間なく資本を注ぎ込んでいく必要があるからだ。
たとえば、五年ごとに製品ラインナップを見直して、数十億ドルの再設計費用を計上するようは会社は、事業拡張や、異業種買収や、自社株買いにまわせる資金が数十億ドル分目減りしてしまう。
対照的に、成長に新たな資本注入を必要としないビジネスでは、余剰キャッシュを業務拡張、異業種買収、自社株買いにまわすことができる。これらの活動は、会社の一株あたり利益を向上させ、最終的には株価を上昇させる可能性が高い(P059)。
人は経験から学ぼうとするが、他人の経験から学べるならそれに越したことはない(P086)。
誰かを雇おうとするときには、誠実さ、知力、実行力という三つの資質に注目するとよい。中でもいちばん重要なのは、誠実さである。
なぜなら、不正実な従業員を雇った場合、知力と実行力はあなたを窮地に陥れるからだ(P089)。
分散とは無知に対するリスク回避だ。だから、勝手知ったる者にとって、分散の手法はほとんど意味がない。
あなたが車を一台持っていて、一生その車にしか乗れないと仮定しよう。
当然、あなたは大切に取り扱おうとするだろう。
必要以上にオイル交換をしたり、慎重な運転を心がけたり。
ここで考えてほしいのは、あなたが一生にひとつの心とひとつの体しか持てないということだ。
常に心身を鍛練すべし。決して心身の手入れを怠るなかれ。
じっくり時間をかければ、あなたはみずかの心を強化することができる。
人間の主要資産が自分自身だとすれば、必須なのは心身の維持と強化である(P131)。
やる意味のないことを、うまくやれても意味はない(P154)。
投資ゲームを戦う中では、絶好の機会を見逃すという失敗は無数に起こりうるが、こういう不作為のミスはあなたのふところをまったく痛めない。
むしろあなたが注意するべきなのは、みずから行動を起こした際の作為のミスだ。この作為のミスを発見するためには、過去ではなく未来への視線を向けておく必要がある(P.161)。
わたしは自分のミスを説明できるようになりたい。成功と失敗を両方説明できるということは、自分の行動を一〇〇パーセント理解している証だからだ(P.162)。
どういうわけか、人々は行動のきっかけを、価値ではなく価格に求める。
価格とはあなたが支払うものであり、価値とはあなたが受け取るものである(P.184)。
金は人を変えない。金は人の本性を浮き立たせるだけである(P.221)。