『台北の朝、僕は恋をする』

観賞後の感想
主人公のカイは台北の屋台の息子、パリへ留学しているフェイと遠距離恋愛中。
元々一緒に行く予定だったらしいが、なんやかんやで行かなくなったらしく
(会話の中で軽く触れられている程度)、お金もないので本屋でフランス語の本を
立ち読みというか座り読みして勉強している始末。
その本屋の店員がアンバー・クォ演じるスージー、佐藤亜美菜風の女の子です。
スージーはずっと本を座って読んでいるカイが気になる様子で話しかけたり、自分が習っている
ダンスを披露したりと気を引きますが、カイはその気なし。
で、フェイとカイはだんだん疎遠になって遂に別れ話が…、という内容の映画でした。
カイがパリに行くために、屋台の常連さんであるパオさんにお金を借りに行きます、
そこで、条件としてある人からあるモノを受け取ってくるように頼まれます。
そのあるモノというのが、パオさんが老後を暮らすために貯めた資金、
これをめぐってパオの甥であるホンと手下ども、警官のチーヨンと後輩のウーシン、
そしてカイの友達のカオたちが一晩中繰り広げられるドタバタ劇(笑

全体を通して夜のシーンが多く、特に暗い青が印象的な映画でした。
監督の趣味なのか、夜の台北の町をバイクで疾走するシーンを
正面から撮る構図が多くて、流れる夜景を楽しめました。
夜市のシーンも多く、また台湾に行きたくなったなぁ。
台湾の時間の流れなのか、ゆ~~ったり話は進んでいき、時折
やれやれと呟いてしまいそうなうっかりギャクシーンも。
こういった「本当に悪い人がいない」映画が好きです、個人的に。
ところで、手下がつぶやく「かわいいねぇ」の台詞は
台湾でも通じる言葉なんでしょうかね。

スージーことアンバー・クォの表情がクルクル変わるのが最高に良かったです。
最後の本屋でのシーンの、映像の切り替わりはグイグイ引きこまれました。

ところで、最後に思ったのは
「カオ、それでいいのか?」でした。

なんにもない映画ですよ。オススメ。

『私、社長ではなくなりました 』

『私、社長ではなくなりました 』
安田佳生

読後の感想
「千円札は拾うな」の安田社長。
新卒の就職したい会社ランキングの上位にいたことは存じ上げていたが、
まさか民事再生をしていたとはまったく知りませんでした。
会社ってなんだろう、企業ってなんだろう。
会社の社会的責任「従業員の雇用を守る」という言葉の重さ。
なかなか会社をつぶした人の話を聞くことは出来ない。
民事再生の原因は「放漫経営」と聞くと、それっぽく聞こえてしまうが
本当はそこが本丸ではない。
本当の原因は、「会社を継続させるための長期的視点が欠けていたこと」なのでは。
「敗軍の将、兵法を語る」 とも言う。
実は従業員に好かれ過ぎようとしたのではないだろうか。

印象的なくだり

いま思えば、英語もできないのに、よくぞひとりでアメリカに行けた。
当時の私は、おそろしいくらい楽天的だった。アメリカでは小学生だって英語を話すのだから、自分も行けばなんとかなるだろうくらいに思っていたのだ。
三十九歳のとき、ふたたび一人旅に挑戦してみようと思い立った。十代でなえあんな大胆なことができたのか、不思議でならなかったからだ。
行き先はスペインにした。だが、いざ出発というときになり、ひとりで行くのは不安になってしまった。
結局、通訳をつけてもらった。通訳は同じ年齢くらいのスペイン人のおじさんで、夜は毎晩、二人で酒を飲みつつバルの小皿料理をつまむこととなった。
年を重ねて臆病になっていた(P.030)。

これぞ偽らざる気持ちなんだろう、切ないなぁ。
思えば自分もいつの間にか新しいことができなくなっている気がする。

一九九〇年には、映画「プリティ・ウーマン」が大ヒットした。主演のジュリア・ロバーツがまだ二十二、三のころの作品だ。
あの映画を観て、ジュリア・ロバーツが演じた主人公のようなシンデレラ・ストーリーにあこがれる女性は多かったと思う。
一方、私はリチャード・ギアが演じた青年実業家にあこがれた。
強烈に印象に残っているのが、リチャード・ギアがペントハウスでシャンパンとイチゴを頼むシーンだ。シャンパンを飲みながらイチゴを食べるのである。
これこそが「できるビジネスマン」の象徴だと思った。
シャンパンを飲むときには、イチゴをかじる。
私もよく真似したものだ。
(中略)
シャンパンとイチゴについてはどちらでもいいことだが、とにかく私はリチャード・ギアのようになりたくて、将来は社長になると決めたのだ。
まったく不純な動機である(P.036)。

要領よく売ることしか考えていなかったので、全国で一番になっても、本当の営業力などまったく身につかなかった。
だが、このことに気づいたのは、もっとあとになってからだった。
私はワイキューブを設立してからも、いかに営業をせずに、要領よく売上を伸ばすかということばかりを考えていたのだ。
DMの開封率を上げるために、当時流行っていたディオールの「プワゾン」という香水をまるまる一本、DMにふりかけて香りで相手の気を引こうとしたこともあった。
なぜそれほど正攻法の営業が嫌いだったのかを振り返ってみると、たぶん自分の弱点がバレるのが怖かったのだ。私はとにかく人見知りが強く、初対面の人と話をするのが苦手だった。
そういう自分の弱点を露呈してしまうことが、何よりも怖かった。
それを他の方法でごまかし、なんとか取り繕ってきたのだ
(P.051)。

自分がやりたくないことは社員もやりたくないはずだし、社員に電話営業ばかりをやらせていては、優秀な人材が集まらなくなる。それならいっそのこと、アルバイトにやってもらうと考えたのだ。
しかし、自分たちがイヤなことをアルバイトに押しつけて、それで成り立っているビジネスというものいかがなものか。ずっと心に引っかかっていた(P.095)。

中途採用に積極的な企業は、転職市場には優秀な人材が流通していると考えがちだが、「優秀な人はそもそも会社を辞めないから、転職市場にも出てこない」というのが私たちの持論だった(P.102)。

中途採用よりも新卒採用のほうにメリットがあることをわかりやすく伝えるために、マトリックスを使って図解もしてみせた。経験の有無と能力の有無をかけあわせて、四つのタイプに分類したのだ。
経験があって能力がある人材は「即戦力」。
経験がなく能力がない人材は「戦力外」。
経験がなく能力がある人材は「未来の戦力」。
経験があって能力がない人材は「即害力」。
企業がいちばんほしいのは、即戦力である。だが、即戦力となる人材は会社を辞めないし、辞めたとしても
次の会社に引き抜かれて辞めていく。私たちのいう転職市場には出てこない存在というのが、これにあたる。
にもかかわらず、どの会社もこの即戦力を採ろうとやっきになっている。その結果、転職市場にあふれる即害力ばかり採用してしまうことになる(
P.103)。

本であれば、DMの代わりになる。本が売れさえすれば、顧客がお金を出して分厚いDMを買って読んでくれるようなものだ。
(中略)
さらに、本が話題になってメディアからの取材が増えれば、広告費を使わずにワイキューブを宣伝できる絶好の機会になるはずだ。
本を売って、メディアからの取材を増やす。そのためにはどうすればいいかを真剣に考えるようになった(P.111)。

自分たちの会社をどう魅力的にみせるかということについて、考え抜いていたり、ノウハウをもっている中小企業の社長は少なかった。
とくに自分たちの技術に誇りをもっている会社の社長は、気づいたら技術の話だけを一時間半もしていた。ということもよくあった。
たとえば、ネジがいかに精巧につくらているかなどだ。
しかし、そのようなことには、文系の学生はあまり興味をもたない。
それよりも、その会社で働くことよってどんなメリットがあるのか、それを伝えることのほうが説得力があった。
何もしなくても興味をもってもらえる大企業とは違って、中小企業の場合は「興味はなかったけれど、なかなかおもしろい会社かもしれない」と学生に思ってもらう必要があった(P.145)。

私たちのビジネスは、新卒を採用したことのない会社に新卒採用を提案することだ。
しかも世の中には、新卒を採用したことのない会社のほうが圧倒的に多い。
国内に二百万社ある会社のうち、新卒採用を実施しているのは二万社程度で、全体のわずか一%、残りの九十九%はがら空きのマーケットというわけだ(P.155)。

負債金額は四十二億円。
だが、銀行に対して返済計画を見直してもらうよう交渉したときよりも、「民事再生します」と告げたときのほうが、気持ちはずっと楽だった(P.187)。

ワイキューブを倒産させて、民事再生しようと決めたのは、役員である小川さんのひと言がきっかけだった。
小川さんはオレゴンの大学時代からの友人であった。
「安田さんが『もうやめよう』と言わない限り、社員はついていかざるをえない。これ以上、社員を巻き込むのはかわいそうだ」(P.192)。

これを読んで思った。
友人と起業してはいけない、ということを改めて思った。
会社と友人を一気に失ってしまう。

私にとって、会社はたんに仕事をするだけの場ではなkった。
人生を共有する場であり、生きていく場であるような気がしていた。
そして何より、自分はこう考えている、こう生きている、という想いを表現する場だった。
会社を通じて社会に発信することが何より大事だったのだ。
それは、社会に常識に対する挑戦だったり、福利厚生が充実した理想の会社というメッセージだったりした。
ひと言で言えば、安田佳生という生き方そのものを表現する場だったのだ。
しかし、それだけでは会社は成り立たない。
会社というのは仕事をする場である。利益を上げていくことが、会社が存続するために前提条件なのだ。
その優先順位を見誤っていた
(P.196)。

結果的に多くの人たちに迷惑をかけ、本当に申し訳なかったと思っている。
とくに民事再生に巻き込んでしまったクリエイターさんや取引業者さん、そして私の人生に巻き込んでしまった多くの社員に対して、謝りたい。
すみませんでした。
もうこのような会社をつくることはありません(P.205)。

みみっちいお話。

みみっちいお話。

引っ越すときにやたら小さいものを無くしました。

1.自転車に使っているタイヤの空気を止めるキャップ。
2.本棚の棚受けに使っていたダボ。

1.は正確にはフレンチバルブのキャップとか言ったりします。

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ネットで探す限りは見当たりません。
前回空気を入れた際に閉めなかった記憶はないので
引越途中に無くなったのか、もしくは金沢に来てから
悪意ある何者かに盗まれたのだと思います。
売っているところが見つかっていないので
ちょっと困っています
(名古屋時代の行きつけの自転車屋さんだと
気軽にちょうだいと言えるんだけどなぁ)。

2.は確か前回の引越時でも無くしていたはずで
問題を先送りした結果、現在二個無くなっています。
先送りした結果、損失が大きくなったパターンですな(嘆息

これは東急ハンズで見つけました。
https://hands.net/goods/4954957614529
本体105円で配送料が525円でした。
いいんです、自業自得ですから。

ムムムと考えた結果、
大きいのよりも小さいもののほうが
無くしやすいのだから、等価値であれば
小さいものの方を慎重に扱うべきでしたね、はい。

どっとはらい。

『少年H(上)(下)』

『少年H(上)(下)』
妹尾河童

読後の感想
細君の蔵書から拝借しました。
戦前戦後を少年として過ごした著者の自叙伝的小説です。
神戸という戦前でも外国に開かれた街に育ち、ご実家が洋裁店を営んで外国人の顧客も多く持ち、さらにクリスチャンの両親に育てられた著者の河童さん、他の子供とは違って視野が広い少年時代を送っていたようで、事実についてかなり冷静に書かれています。

タイトルの「少年H」の由来ですが、著者の河童さんは元々は「肇」という名前であり、前述の通り洋裁店のご両親が名前入りの「H.SENO」というセーターを息子にいつも着せていたので、みんなから「エッチ」と呼ばれていたそうです。

事実誤認だらけであると書いている「間違いだらけの少年H」(こっちはまだ読んでいません)なんていう批判本もあるようですが、戦争を知らない世代の自分にとっては一つ一つのエピソードが戦争の狂気を感じさせ、そちらの効用が大きくそしてまた戦争の時代が来たらどうしようとドキドキしながら読みました
(本書は事実関係に誤りが多いようですがその辺は割り引いて下さいな)。

全編を通じて総ルビで、一つ一つのエピソードが短く読みやすくなっているので、誰に向けて書かれているのかがはっきり分かり非常に好感が持てました。
戦争を知らない世代に読んでもらいたい、という気持ちは僕も同感で、子供にもいつか読ませたいなぁとしみじみ思いました。

印象的なくだり

Hは、焼夷弾を落とした敵を恨むより、現実を教えないで嘘ばかりついて、国民を騙し続けていた奴のほうが憎かった。それは、政府や軍や新聞社だった(下巻P.153)。

Hは、このときハッキリ感じたことがあった。人に物ををもらうことが、どういう状態だと素直にもらえて嬉しいか、ということだった。
簡単にいえば、もらいに行くのは絶対に嫌だが、もってきてくれた物は感謝して貰える、ということだった。実に単純なこの差が、自分にとって大事なものだったのだと知った(下巻P.178)。

金沢市図書館のカードを作りました。

引っ越しました。

転居先の市町村役場で転入届を出したら
すぐにすることは何か?

そう、図書館の登録です(断言

実際我が家は運転免許証の住所変更より先に
図書館の図書カードを作成しました。
証明となるものはもちろん「住民票の写し」。

公的な書類として最強のハズの住民票の写しですが
登場場面が少なすぎるためなのか、係の方は
あからさまに戸惑った表情をされることが
しばしばあります(ありました)。

まぁ紆余曲折あって無事に金沢市民になったので
図書カード(通称Lカード)も無事に作成できました。
我が家から一応は徒歩圏内なので、ちょくちょく
出没しようかと思っています。

ちなみに早速利用してみての感想。

1.金沢市立泉野図書館の地下一階にあるキッズフロアの
充実度が素晴らしい。
フロア全部が子供向けという夢の様な空間。
逆に言うと子供を連れて行くと危険。
我が家の娘はなかなか動こうとしませんでした。

2.金沢市立泉野図書館の一階にある軽食喫茶店は
無愛想だけどでも意外と気が利くマダムが切り盛りしています。
分かっちゃいるけど、ピラフを頼むと奥から
電子レンジの「チンッ」という音が趣深いです。
「趣深い」の使い方が間違っているかもしれませんが
気にしてはいけません。

3.ネット予約の方法が異常に分かりにくい。
特に初回のログイン方法。
どうやら初回のログイン時には仮パスワードが
必要らしいのですが、Lカード作成時には
一切説明がありませんでした。
(後からよくよく見たら登録時に一緒にもらった資料
には書いてあったけどそういった類の書類は
「読まない」前提のシステムでないと困ります、僕が)
http://www.lib.kanazawa.ishikawa.jp/webhenkouten2.htm
検索してようやく引っかかったのが上のページ。
どうやら仮パスワードとして登録者の西暦生年月日が
登録されているらしいです。
え~、そんな簡単な仕組みでいいのか?

まぁ、冷静に考えてみると
図書館の予約サービスを第三者に乗っ取られても
実害が生じにくい性質のものではあるんでしょうけどね…。

4.県庁所在地の図書館にもかかわらず駐車場が無料。
逆に考えると来る人が少な…。

そ、そんな訳で感想でした。
細かく書くときりがないので敢えて書かないのです。