『官僚たちの夏』

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『官僚たちの夏』 – 城山三郎
読後の感想
1960年代を舞台にしているのであろうか、もしも実際にこの時代の雰囲気がこの小説通りだとしたら、この時代に生まれていなくて本当に良かった、と心から思う。
だって、一事が万事全て「理不尽」すぎます。

人事権の濫用、恣意的な評価、報復的な運用、同期から次官が出たら他の者は外局に行かなければならないという意味不明な慣習、小説に出てくるあらゆる様態が尽く理不尽なのです。当時はそうだったといえばソレまででしょうが、なんとも我慢できない気持ちで読み進めました(解説には私利私欲がなかったので、とか書いてあるけどそういう問題でもない

まぁ、トップたる大臣の首が頻繁に入れ替わるので、組織として一貫したことをやるのは難しいのは今も昔もそうなんでしょうけど、本当に場当たり的な組織だなぁと強く感じました。

印象的なくだり
風越は、その葉書を屑籠へ放りこんだが、すぐまた拾い上げ、引出しに納めた。何気ない葉書にも、人柄は出ている。これも、資料のひとつになる。人間に関するものは、何でも集めておく。調査し蓄積して、だれにも負けない情報を持つ。自分は人事調査のエキスパートになる。だからこそ、上司や大臣を自信を以って説得できる人事原案をつくることができる(P.069)