なぜ市街化区域と市街化調整区域が存在するのか?

なぜ市街化区域と市街化調整区域が存在するのか?

そういや昔とある人に質問されたこの内容、
正解かどうかはともかく知っている事例から推測してみました。

まず、基本的な知識の整理から。
この二つの区域は都市計画法に規定されています。
市街化調整区域というのは、宅建的な定義から考えると
「市街化を抑制する区域」つまり、建物を建てたりして都市化をなるべく
させたくない地域のことです。
必然的にこの市街化調整区域では原則として建物を建築することはできません。
(原則として、というからには例外があるのですがそれはまた今度)
もう一方の市街化区域は「既に市街化した地域もしくはおおむね十年以内に市街化する区域」
のことです。つまり建物を建てるのに向いているのは市街化区域なのです。

土地の所有者からすると、自分の土地に何を立てようが原則的には自由のはずです
(私的財産自由の原則とか言います)
その自由に対して、市街化調整区域は「建物を(原則)建てちゃだめ」と制限をかけるのです。

自分の知っている限りの知識では、非効率な都市化を防ぐためと聞いていました。
つまり、広大な土地すべてを建物建ててもよいとしたら、上下水道や電気などのインフラも
非効率的に配備しなければいけなくなるので、できれば建物は集中してほしい。
つまり、市街化区域にインフラを集中的に整備すれば効率的な都市化がすすめられるというわけです。

ところが最近高松市の事例を読んで、違う側面も見えてきました。

高松市では2004年に市街化区域と調整区域の線引きを廃止したそうです。
実質的に、高松市のどの土地にも建物が無制限に建てられるようになった結果、
高松市では10年連続で地価が下落し、市の中心部から人がいなくなる
ドーナツ化現象が起こり、空室のアパートが乱立したそうです。

どういうことかというと(分かりやすくするために単純化して
農地だろうが、どこでも建物が建てられる
 ↓
Dとうけんたくや、Dいわはうすなどがお年寄りに営業かけまくり
 ↓
相続税対策とか一括借り上げとか家賃保証とか言っちゃってバンバンアパート建てさせる
 ↓
不動産屋は、賃料収入よりも建てさせるほうに意味があるので、際限なく建てさせる
 ↓
市街化調整区域のそもそもの地価は安いので新築なのに安い賃料
 ↓
安い新築に押されて中心部の人口が郊外へ流出
 ↓
一戸建てだって郊外に建てたほうが安いので、郊外に流れ、中心部は売れずに値下がり
 ↓
相場も下がり、景気も下がり…

ということで、実は都市計画法の線引きが、人為的に建物の供給を制限して
相場を維持しているという効果があることに(最近から)気付きました。
(まぁ法律の目的としているところではないんでしょうけど)

実際の需要以上に供給をしてしまうと値下がり、値崩れが生じるのはどの世界でも必然なのですね。

(同様の趣旨で農地法も、供給制限の側面があると言えますね)

どっとはらい。