『日本のいちばん長い日』
2015年版
THE EMPEROR IN AUGUST
監督 原田眞人
脚本 原田眞人
原作 半藤一利
製作総指揮 迫本淳一
出演者
役所広司
本木雅弘
松坂桃李
堤真一
山崎努
2015年(平成27年)、半藤一利の『日本のいちばん長い日 決定版』を原作に、原田眞人監督により再び映画化された。製作・配給は松竹。第二次世界大戦後70年に当たる2015年(平成27年)8月8日に全国公開された。
鑑賞のきっかけ
ツタヤでパッケージを見て面白そうだったため。
レビューは7作目(2016年)、通算27作目。
鑑賞後の感想
2015年版の元作品は未鑑賞です。
元作品の副題は「The Longest Day」でしたが、2015年版では「THE EMPEROR IN AUGUST」と変わっています。
つまり2015年版は天皇陛下を中心の物語というわけですね。
だからなのか、史実なのか今まで見た映画の中で最も天皇陛下の台詞が多い映画でしたね。
映画は1945年4月の鈴木貫太郎内閣の組閣シーンから始ります。
明治天皇から「軍人は政治に関与せざるべし」と教わった鈴木は
内閣総理大臣の内示を固持しようとしますが、そこを曲げてと陛下から言われます。
その際に、「阿南といたころが懐かしい」と漏らされます。
鈴木が侍従長、阿南惟幾が侍従武官だった時代のころを懐かしんでのお言葉であったそうです。
最終的にそういった人間関係があったからこ、終戦に導けたとい書かれ方をしています。
陸軍は常に権力闘争 いわゆる「陸主海従」 にこだわり続けているように描かれ
海軍の米内光政が割とバランス派に書かれているように書かれていますね。
特に、陸軍の東条英機の描かれ方は組閣に反対したり、 阿南のやり方に対して留守の隙に
「勤皇には狭義と広義二種類がある。狭義は君命にこれ従い、和平せよとの勅命があれば直ちに従う。
広義は国家永遠のことを考え、たとえ勅命があっても、まず諌め、度々諫言しても聴許されねば
陛下を強制しても初心を断行する。私は後者をとる」と火をつけて回りました。
ただ、陛下とのサザエのやり取りに関しては陛下の台詞は創作であったそうです。
今となっては真実は不明ですが、陛下のような返答があったらそれは相当のキレ者です。
度々出てくる最高戦争指導会議(Big Six)。
参加者は内閣総理大臣 、外務大臣 、陸軍大臣、海軍大臣 、参謀総長 、軍令部総長で
それに陛下を加えると御前会議になるそうな。
よく会議は開かれているけど、いつも何も決まらない最高戦争指導会議と描かれている。
中でも薄氷の上を迫水久常(内閣書記官長)が花押集めたり、うまく言いくるめたりして、
手続きの正当性を踏みつつ裏工作をしていくシーンは事務方としての凄みを見たような気がします。
全般的に早口で何を言っているのか分からず、前後の文意から推測するのはわざとでしょうね。
陸軍式の敬礼がとても印象的でした。
東条英機が訓示をたれるとき、文中に「陛下」を示す言葉が出ると
背筋を伸ばさねばならない伝統は、「ジョーカーゲーム」でも揶揄されていましたね。
ただ宮城事件を起こした青年将校たちも、戦争を終わらした指導陣も
当時の考えの中では真剣に日本の将来を考えての行動であったと強く感じました。
当時の当事者が皆鬼籍に入っている今だからこそ描けたシーンがもっとあってほしかったです。
5点満点中4点です。