『キングスマン』

『キングスマン』
Kingsman: The Secret Service
監督
マシュー・ヴォーン
脚本
ジェーン・ゴールドマン
マシュー・ヴォーン
原作
マーク・ミラー

主演はコリン・ファース。

あらすじ
ロンドンにある高級スーツ店「キングスマン」は、実はいかなる国の干渉も受けない屈指のエリートスパイ集団だった。ブリティッシュスーツを小粋に着こなす紳士ハリー(コリン・ファース)もその一人で、日々極秘任務の遂行に務めていた。そんなある日、仲間が何者かに暗殺され、彼は街で不良少年エグジー(タロン・エガートン)をスカウトする。
(シネマトゥデイ)

鑑賞のきっかけ
同じ部署のNさんからのご推薦。
レビューは6作目(2016年)、通算26作目。

鑑賞後の感想
舞台はイギリスでスパイものと言えば、いわずもがなの007。
自分が気付いただけでも相当数の007のオマージュと愛にあふれた作品でした(グロいけど)
ハリーがエグジーに教えるお酒も「A martini. Shaken, not stirred」(「マティーニを。ステアせずシェイクして」)と
007を意識したものでした。

単なる青年の成長譚というわけではなく、ネタとして英国風格差社会・階級社会が色濃く出ており節々に感じられました。
例えば、スパイ組織の「キングスマン」のメンバーはアーサー、ランスロット、ガラハッドと円卓の騎士の名前を模しています。
(魔術師マーリンは教育係り)
それに対して、エグジーは公共団地に住み、チンピラの義父とドラッグまみれの母と過ごし
海兵隊も中途除隊になり、無職で車を盗んだりパブで献花するような最底辺の生活をしています。
ちなみにロンドンでの若者の失業率は非常に高く、2011年のイギリス暴動の主原因は携帯電話のメールと失業率であり本作の裏テーマにもなっていたりします。

ド派手な動きでアクションシーンと、スパイらしく小道具(防弾傘、腕時計型の記憶をなくす装置、革靴から毒ナイフ、ライター型手榴弾)シーンの絶妙なバランスが、、、と思っていましたが、教会のシーンと威風堂々のシーンで全部持って行かれました。

なお、主人公のハリーは自他共に認める英国紳士なのですが、エグジーは若くアメリカナイズされています。

「マナーが人を作る( Manners make the man )」とハリーはいうのですが、
『大逆転』『ニキータ』『プリティ・ウーマン』も見たことのないエグジー。
でもなぜか更に古い『マイ・フェア・レディ』は見たことがある・・・という。

パートナー犬JBの名前の由来も「ジェームス・デーン」でも「ジェイソン・ボーン」でもなく「ジャック・バウアー」だったりするエグジーですが、厳しい訓練に残って残っていきます、エリートにいじめられながら。
(この辺が階級社会あるあるなんですかね、イギリスの寄宿舎小説でも必ずあるし)

それに対して、憎めない敵役はIT成り金の黒いスティーブ・ジョブズっぽいリッチモンド・ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)。
環境問題に熱中するあまり、環境に害を及ぼす人間を滅ぼしてしまえ、というありがちだけどかなり行きすぎた思想でありその過激な割には血が苦手で、必ずベースボールキャップにハンバーガーという典型的な(英国人観の)アメリカ人です。

最後にこれ、スウェーデン王室から文句でなかったんですかね、王女の扱いについて。
キーロックナンバーは26-25で、この番号を携帯電話のナンバーに当てはめるとanalになるという・・・

5点満点中4点です。