『スマートサイジング』

スマートサイジング -
スマートサイジング –

『スマートサイジング』
タミー・ストローベル

読後の感想
読む前までは、モノを減らしたりするのは探す時間が減ったりして合理的な観点からだけ、で考えていました。
しかし、本書は全く別で「人生を幸せに過ごす」という観点を中心に掛かれています。
その内容は心理学的なこともあれば、経験則的なこともあり、納得いくような書きぶりではありました。

それよりもなお、著者がすごいのは、車を処分し、仕事を変え、家も小さく、
というように段階を踏んできちんと進めていることです。
きっと試行錯誤がかなりあったことと思いますが
計画立ててそれを信じて実行していく過程がリアルに楽しめました。
そして、この通りやれば自分も再現できるのだなと安心にもつながりました。

いまの生活から何を得たいのか、を考えるとモノからではなく、
周囲の人や経験から学ぶべきという結論になるのでしょう。

ちなみに本書で掛かれているタイニーハウスとはいわゆるやどかりですね。

印象的なくだり

その頃の私は、カルフォルニア大学リバーサイド校の心理学教授ソニア・リボミアスキーが「幸せがずっと続く12の行動習慣」の中で挙げている「快楽順応」状態。
(中略)
新しい洋服を買う。一瞬、満たされた気持ちになる。
でも、そのうち着慣れて飽きてしまう。
よくよく考えてみると、私の投資はあまり見返りを生んでいなかった(P.019)。

何と引き換えに目の前のモノが手に入るのかと考えたとき、値段や取り急ぎ支払わなくてはならないお金のことを思い浮かべるのは簡単だ。
それしか頭になければ、今ある3万ドルの借金に数百ドルがプラスされることなど忘れてしまう。
しかし、ツケは必ず回ってくる。
まず、働くという形で。
次に、借金のストレスというかたちで。
そして好きでもない仕事に縛られたあげく、最後には時間を奪われ、人と深い関係を育めなくなる(P.040)。

カーシェアリングと同じ戦略は、家、オフィス、店、土地、機械などのツール、ブランド品など、さまざまな分野で応用できる。
モノをあまり持たない暮らしの魅力は、必要が生じたときにだけ欲しいモノやサービスにアクセスできる点にあるの。
私たちは今、モノの価値とコストのバランスを見直しはじめている。
それによって私たちのライフスタイルは、モノばかりを追い求めるかたちから、あまりモノを持たないカタチにきっと自然に切り替わってくるはずよ(P.080)。

ダウンサイジングを繰り返すたびに、私はどんどん幸せになっている。半分眠ったまま過ごすのではなく、生きているという実感を持って毎日を過ごしている。私には、ディー・ウィリアムスの力強い言葉で、今でも折に触れて思い出すものがある。
あのときディーは客席に向かってこう問いかけた。
「あなたは死ぬときに、両手にどんなモノを抱きしめていたいですか?
少しの間、考えてみてください。どんな部屋でどんなモノに囲まれて、最後の瞬間を迎えたいですか?そういったことをもっと日頃から自分に問いかけられれば、私が思うに、モノを手放せないなどということはなくなるはずです。
そうなればモノへの執着心は薄れ、代わりに人や経験に興味が湧いてきます。そしてこの人や経験こそが、私たちを本当の意味で幸せに導いてくれるものなのです(P.106)。