向上心

向上心
サミュエル・スマイルズ
竹内均訳

読後の感想
 『自助論』、邦題では『西国立志編』で有名なサミュエル・スマイルズの著書。

 百年以上も昔に書かれた本とは思えないほど、現在にも通じる部分の多さに驚かされます。ただ残念なことに、引用として登場する人物の多くを知らないため、その言葉の引用の真の意図まではつかみかねました。

肝に銘じようと思ったくだり
 行動ばかりかあとさきを考えずにむちゃな物の言い方をする人もいる。

 頭をすばやく回転させ、おそらくその場の座興で痛烈な言葉を吐くような衝動的な天才は、皮肉やあてこすりを勝手にいうものだ。

 それが、いつかは自分の身にはね返って命取りになる。
 相手をからかうつもりで機知にとんだ意地悪ばかりいっていたために失脚した政治家さえいる(P171)。

 世の中には悪人よりも善人のほうが多く、悪人は善人よりも大胆だという理由だけで優勢を保っているのだ。
 「われわれは決断力の強い人間をどうしてもほめたくなる。われわれがよく悪人の味方をするのは、悪人がこの力をもっているからにすぎない。(略)」とペルテスは述懐している。