ニシノユキヒコの恋と冒険

ニシノユキヒコの恋と冒険
川上弘美

読後の感想

 ニシノくんのという男性について、様々な女性からの視点で表現された短編集。

 作者の川上さんの文章は、透明感たっぷりでまるで空気のような文章でした。読んでいて抵抗がなく、後味もない文章でした。
 しかし、その中にドキッとする毒がちょっぴり仕込んであり、たまにあたります。

 さまざまな女性の、違った視点で書かれており、またそれが時系列順ではないので、少しだけ混乱を招きやすかったです。

ドキッとしたくだり

 「許しあって、油断しあって、ほんのすこしばかり見くだしあって、ひとは初めて愛しあえるんじゃないだろうか。」(P088)