『チーズはどこへ消えた?』扶桑社
スペンサー ジョンソン(Spencer Johnson)
門田美鈴
読後の感想
そもそも読もうと思ったきっかけは、読書の習慣がまだ身についていない友人に一冊薦めるなら?という架空の疑問からでした。内容としては名著でも、量が膨大だったり(『7つの習慣』とか)すると、結果として読み進めるのが困難になってしまい、本を読むという目標が不達成になってしまうからです。
そこで、質の高いエッセンスが抽出された薄い本を探そうという目標をたて、候補としてこの本を選びました。
結論としては、この本はちょっと薄すぎです(笑
一時間もしないうちに読めてしまい、まったく内容が残らないのではないか、と感じました。
やはり、本にはある一定の量が必要です。
この本は、「量の延長線上に質の向上がある」という理解を改めて深めさせてくれました。
また、本の内容も一部同意しかねると感じました。
本書は、チーズ=私たちが人生で求めるもの、迷路=捜し求める場所という設定で話が進んでおり、ある日徐々に変化していた客観的な環境(チーズがどんどん減っていたということ)の変化に気づき、自分も変わらなければならない(迷路にチーズを探しに行く)、という内容です。
本の内容を記号で示すと
1.環境(客観)の変化→2.客観に適応の必要性→3.自分(主観)の変化、という過程をたどっています。
しかし、この考え方だと最初はいいのかもしれませんが、受身の姿勢が身についてしまうのではないかと少々心配です。
いつか、このままでもい~や(客観に適応の必要性を感じない)という日が来るような気がするからです。
いずれにせよ、この本は、「読書の習慣がまだ身についていない友人に一冊薦めるなら?」という自分の本来の目的からすると、最適とは言えない本でした。
印象的なくだり
ホーは弱々しい笑みを浮かべて思った。「遅れをとっても、何もしないよりはいい」(P043)
いまは、予期していようといまいと、つねに変化が起きるのは自然なことだとわかった。
変化に驚くのは、予期したり期待したりしていないからだ。
ホーは立ち止まって、壁にこう書きつけた-
従来どおりの考え方をしていては新しいチーズはみつからない(P057-058)。
この本、高校生のとき読みました。
また、本書は最近月曜会のLEOさんが立ち上げた、
洋書を読む会の課題本になるそうです。