『22年目の告白』

ややネタバレです。

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「22年目の告白」

鑑賞のきっかけ
映画館で予告編で見て興味を持っていました。
予告編でいきなり殺人犯と自称する曾根崎雅人(演:藤原竜也)が「はじめまして、私が殺人犯です」と記者会見するシーンがとても印象的でした。
長らく「いつか見る映画リスト」に入っていたのですが、タイミングが合ってようやく見ることができました。

鑑賞後の感想
個人的にいま一番好きな映画監督の一人である入江悠監督の作品です。
現代社会派サスペンスらしく、ツイッター、Youtube、ニコニコ、とあらゆる方向に情報が拡散していき、どんどん主題がぶれていく姿が非常
に皮肉的に描かれていました。

5件の連続殺人事件が起こったのは1995年。阪神大震災の実際の映像を差し込みながら、過去の事件を振り返っていました。おそらくカメラを変えているのか、22年前を描くシーンは画質も粗くて、昔風の臨場感たっぷりでした。プロットうまいなぁ。

殺人の様子を最も親しい人に見せながら殺害するといった倒錯した殺害方法を好む犯人に家族を殺された遺族たち。それによって心理的にトラウマを受けた遺族たちは、22年経った現在でも、感情が引き続いている姿が痛々しく描かれています。
その遺族たちはそれぞれの立場を保ちつつも、互いに連絡を取り合い、慰めあっている姿はどこかしら、拉致被害者の家族団を連想させました。

主人公の刑事牧村航(演:伊藤英明)は過去の殺人事件の捜査担当者であり、かつ先輩を失ったという被害者側でもある立場。その難しい立場からか、曾根崎を憎む描写よりもどちらかといえば抑える側に回るほうが多い役回りです(と、思っていたら後でビックリが)

いわゆる殺人事件の時効(公訴時効)によって自称殺人犯を裁けない非難に対して、殺人犯の自伝を出版をする出版社も、「私たちが裁きましょう」と声を上げるニュース番組のキャスター仙堂俊雄(演:仲村トオル)も、vs表現の自由という対立構造では同じなのですが、ちょっと皮肉な描き方でしたね。

社会巻き込み型の殺人事件で、証拠が散逸している中、見ている観客も真実がなにか分からない、という点は、『白ゆき姫殺人事件』を少し思い出しながら見ました。

ラストシーンは、恨みを晴らした、という解釈でいいのかなぁ、きっと。

小ネタとして岸美晴(演:夏帆)の家に、かえるのピクルスありましたね、かわいい。

『最強のふたり』

最強のふたり(原題: Intouchables)
監督
エリック・トレダノ
オリヴィエ・ナカシュ

フランス映画。実話ベースのお話。2013年日本アカデミー賞最優秀外国作品賞受賞作。

鑑賞後の感想
登場人物は大きく分けて二人。
パリに住む大金持ちのフィリップ(フランソワ・クリュゼ François Cluzet)。かつてパラグライダーの事故に遭い、首からつま先まで感覚がない車いす乗り。奥さんもその事故でなくしてしまい、二重の苦しみを味わる孤独な大富豪。
そして、そのフィリップを介護をするのは経験ゼロのドリス(オマール・シー Omar Sy)、しかも宝石強盗の前科持ち。
元々いろんな人から距離を置かれていて気難しいフィリップが、一時の気の迷いからドリスを介護係に採用するところから、話が進みます。

オープニングの車を飛ばすシーン、BGMはEarth Wind & FireのSeptember。警察に囲まれる、フィリップが嘘発作、警察は見逃し、警察の対応について賭けごとする二人、仲よさそう。この二人のイチャイチャ感が最高です。

時間軸は逆に戻り、二人の出会いであるフィリップの介護者面接シーン
元々失業手当をもらうためだけに面接を受けにきたドリスは面接の順番を待ち切れず面接に乱入、対してフィリップはドリスを気に入りみんなの反対をしり目に採用。
実はフィリップは気難しくて今までの人はみんな一週間程度で辞めていたので、似たような応募者にうんざりしてたんですね。
で、採用されたドリスは泊りでの仕事になり、場面は夜へ。
フィリップには動かはないはずの身体から痛みを感じる発作、いわゆるファントムペインが(幻想痛)があることを知るドリス。
ここら辺からすべてのエピソードがどんどん仲良くなるドリスとフィリップ、友人たちは辞めとけと忠告するもそれがなお一層、天邪鬼のフィリップには気に食わない。

というか、フィリップがドリスを気に入っている一番の理由、「ドリスは、フィリップに対して障害者だからという対応をしていない」ことなのです、たぶん。
他の介護者がやってきたことを一つも守らず、雇い主にも平気で歯向かうし、タバコ吸わせたり、自動車いすを改造させて、セグウェイを追い抜いたり。

二人の関係がきっちり対等になりつつあるところに、一石を投じたのがフィリップと文通しているエレオノールの存在。
障害を隠したいフィリップはずっと文通だけをしているが、ドリスはそれが気に食わない。勝手に会う約束を取り付けてしまい、しかも写真の交換まで約束してしまう。
それにもかかわらず、勇気の出ないフィリップ、ドリスが選んだ「障害者であることを隠していない写真」を勝手に、障害者になる前の写真に変えて送ってします。
どうやら相当隠したい事実のようでコンプレックスなのだなぁという演出です。

主役の二人以外もいい人が多くてほほが緩みます。
ドリスがちょっかいかけている美人秘書のマガリーは、最後になぜドリスに興味がなかったかが明かされます。
ドリスの先輩介護補助イヴォンヌはドリスのおかげで人生か少し楽しく変わります。

個人的に一番好きなのが、フィリップのサプライズ誕生日パーティー、フィリップはドリスが気に入るようなクラッシックを色々試してみるがダメ、むしろドリスが持ってきたEarth Wind & Fireでみんな踊りだしてしまう、使用人も楽しそうで、それを見ていたフィリップも笑顔。なんて素敵な物語。

「チェイサー」

チェイサー

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監督:ナ・ホンジン

ネタバレありです。

きっかけ
「哭声(コクソン)」の予習のため、監督ナ・ホンジン

あらすじ
元刑事のジュンホ(キム・ユンソク)デリバリーヘルスの元締め、デリヘル嬢を脅したりしながら経営している。そんな中、ある特定の男性の家に呼ばれたデリヘル嬢が連続して発生する。
敵役はヨンミン(ハ・ジョンウ)。ヨンミンは他人の家を乗っ取って、連続殺人を行っているのでした。
発覚のきっかけはデリヘル嬢のミジン(ソ・ヨンヒ)がヨンミンに呼ばれたことです。風邪で7歳の娘ウンジ(キム・ユジョン)に看病されていたミジンは、ウンジを残して仕事に出かけたのでした。

鑑賞後の感想
ネタバレありです。
韓国映画得意の暴力シーンのオンパレード。特に、ノミとカナヅチで頭蓋骨を砕き、死体は水槽の中や、土の中に埋めて犬が掘り返すあたりは、もう目を覆わざるをえないシーンでした。よく考えたら、自分は血が苦手なんだよね。
男性の暴力的な演技に対して、女性の心理描写が秀逸でした。中でもミジンの役割が物語の中心であり、またもの悲しさを表していました。
そのミジンはヨンミンに会った時から、ちょっと恐怖を感じてて、外のドアを開けたまま家に入ったり、かなりの緊張感を持った演技をしていて、見ている側としては「逃げて~」とヒヤヒヤものでした。
特に、ヨンミンが鍵束をジャラジャラさせながら自分の家(と思わせている)鍵を探す様子を疑わしそうに見ているシーンは最高です(いい意味で)。
背景として、韓国に警察組織の腐敗っぷりが目立ちました。本当にそうなのか映画なので誇張ありきなのか分かりませんが、暴力警官も多いし、ヨンミンを挑発させ殴らせるように仕向けて「ブラボー」と言ったり、ジョンホにヨンミンを殴らせてみて見ぬふりをしたり、通報を受けても車の中で寝てたり(これはひどい)、証拠を作ってでも探せと言ったり。
ただ、変だなと思ったのは、あれだけ違法捜査をやっておきながら、12時間という時間だけは守ろうとするのか(別件の現行犯で上げれば、時間制限が繰り返されるのでは?)と。
ジョンホはジュンホが2年前にやめた職場とうまくやっているあたりは人間性が出ていい背景ですね。今回ジョンホだけが、最初は動機は違ったもののミジンを救おうと行動してくます。ジュンホとウンジの関係がレオンチックで、この映画の中で唯一のホッコリシーン。
二人の関係性が最初は反発、母の死に感づき号泣、手をつなぐシーン、保護者欄にサインするなど、徐々に近まっていくくだりには、ぐいぐい引き込まれました。
そして、ジョンホ、ウンジ、ミジンの努力が完全に無にされるラストは本当に衝撃です。あの結末の理由は、実話ベースだからなのか、それとも生きる努力を無にしようとしたのか、さっぱりわからん。嫌な感じしか残りませんでした。なんで??

そうそう、オ・ウンシル刑事が綺麗すぎですね。

『JSA』

あらすじ
1999年10月28日午前2時16分、共同警備区域の北朝鮮側詰所で、朝鮮人民軍の将校と兵士が韓国軍兵士により射殺される事件が発生。現場に居合わせた目撃者の韓国軍兵士と朝鮮人民軍下士官は「拉致されて脱出した」、「突如攻撃してきた」と、正反対の供述を行なう。
中立国監視委員会は事件の真相を解明すべく、韓・朝両国の同意を得て、スイス軍法務科将校の韓国系スイス人、ソフィー・チャン少佐に調査を依頼。ソフィーは関係者と接触を繰り返しながら事件の真相に迫る。

JSA
監督 パク・チャヌク

出演
ソフィー・E・チャン
(スイス軍少佐) イ・ヨンエ
イ・スヒョク
(韓国軍兵長) イ・ビョンホン
オ・ギョンピル
(朝鮮人民軍中士) ソン・ガンホ
ナム・ソンシク
(韓国軍一等兵) キム・テウ
チョン・ウジン
(朝鮮人民軍兵士) シン・ハギュン

鑑賞後の感想
「オールドボーイ」「お嬢さん」を見て、この監督すごいなぁと思っていたので、過去の作品を見ようと思いツタヤでレンタル。
登場人物の描き方がどの人も丁寧で、「ああ、この人はこういう人なんだろうなぁ」ということが演技とエピソードから見て取れました。特に、オ・ギョンピルは実はとても優しい人、ということがことあるごとにちょっとした仕草から読み取れます。
そういう意味で、見ている人をオ・ギョンピルに感情移入させようとしているのでしょうか。

中立であるスイスの軍人であるソフィー・E・チャンは、より一層難しい立場の演技でした。
着任してすぐ「1953年以来初めて女性が足を踏み入れた」などという軽いセクハラから始まったり、 前任者からは「板門店はdry forestで小さな火種でも大火事になる」「中立であれ」とことさら強調されるし、南側の将軍は非協力的だし、もっとも当事者がまったく真実を語らないという環境の中だったので、苦悩するシーンが多かったです。
自室で家族の写真立てに飾った自分と母親の不自然なツーショットでは、ザ・伏線って感じでしたね。

ストーリーは、きちんと日付のキャプションが入っていたので分かりやすいし、当事者の陳述書のシーンから回想シーンへとなだれ込むつくりは、見ている人をきちんとリードしてくれる優しさを感じました。
というか、わかりづらい話だという自覚はあるんだろうなぁ。

ことの真相は結構単純な話なんですが、それを読む解くまでの過程がちょっと複雑かなと感じました。
特に分かりにくかったのは、銃弾の数のくだりです。
というのも、イ・スヒョクとオ・ギョンピルの証言では、現場にはその二人と殺された二人の合計四人がいたことになっているのですが、実際にはその場にはソンシクもいたのです。
その二人の証言にはあらわれないソンシクという第三の存在を導くために、客観証拠である銃弾の数の謎を読み解くシーンが
あるのですが、正直いって分かりやすい流れではありませんでした。

それはともかく、特に印象的なシーンは、やはり有名なチョコパイのシーンです。
イ・スヒョクが何気なくオ・ギョンピルに対し、南へ来ないかと誘うシーンです。
ちなみに、あのときのイ・スヒョクの表情から「ついつい口が滑ってしまった」感がありましたが、どうなんでしょうね。
それぞれイ・スヒョクとオ・ギョンピルの陳述書には、端々にお互いの影響力の表れがありました。
銃を抜くスピードよりも冷静さのくだり、だったり、ジッポライターだったり。
これらの要素が、二人を仲良く映すシーンよりもことさら心の交流を描いていたと感じました。

南北間の緊張がある現実では実際にはいまはありえない設定らしいのですが、言葉が通じる同じ民族で分断されている悲哀を、見ていて本当に痛々しく感じることができる一本でした。

ちなみに、別れの日に、三人で写真撮影をしようとした際に、バックにある総書記の写真が映らないようにするシーンがあるのですが、そこはきっと笑うところだったのでしょうね。

「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」

「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」

監督 橋本一
脚本 古沢良太/須藤泰司
原作 東直己
『探偵はひとりぼっち』

出演者
大泉洋
松田龍平
尾野真千子
ゴリ
渡部篤郎

音楽 池頼広

主題歌 鈴木慶一とムーンライダーズ「スカンピン」

鑑賞後の感想
(フランクにネタバレ

前作に引き続き2も鑑賞。

あれ?1よりも断然面白い(失礼
ストーリーのテンポが断然2が良くて、この手のアクションにはぴったりでした。

最初の回想シーンは、後で殺されるマサコちゃん(ガレッジセールのゴリ)の物語なんだけど
このマサコがとてもいい味を出していました。
自分が幸せになると誰かを不幸にする、という重荷を
十字架という形で表現した部分は本当に見ていてつらくなるくらい見事。
このマサコがどれほどいい人だったかを強調することが
物語の根幹を担っている、ということがハッキリと分かりました。

マサコが殺された後の、麻美ゆまとの豪遊シーン(サービスショット)は
単なるサービスだったのですかね。

探偵と弓子(尾野真千子)の邂逅シーンはサスペンス→コメディの落差シーンは
とても面白く、ついつい笑ってしました。
高田(松田龍平)の「さすがにこれは、ダメだろ」のセリフは
このドラマの中で一番のポイントです(個人的な感想

ちょっと気になったのは弓子の
「誰かが勇気をもって動き出せば 後に続く者がでるはずよ」
の言葉に、探偵自身が勇気づけられるシーン。
政治家に対決するのを躊躇するという、小物感が強くなりすぎたようでした。

例によって、北海道の観光映像のように室蘭が出てきたり
前作見てないと笑えないシーン、佐山の鼻に拳銃を充てるシーンとかは
安心して見ていられますね、ほんと。

犯人捜しの最後はちょっと後味の悪い終わり方でしたが
札幌という町に寄生している便利屋みたいな感じの終わり方は嫌いではなかったです。

で、今度北海道行こうかと計画してて
合わせて喫茶店モンデに行ってみたいなぁと検索したら
舞台になったトップという喫茶店はすでに閉店とか、、、。残念。