『清須会議』

出演: 役所広司, 大泉洋, 剛力彩芽, 小日向文世, 佐藤浩市
監督: 三谷幸喜

鑑賞後の感想
時代劇だと思うと変な感じするけど、単なる人間群像ものだと思えば面白い。
ただ、歴史考証マニアは怒るだろうね、うん。
松姫役の剛力さんの役はわざとあの演技なんだろうなぁ、本当は怖い人間だったね。
大好きな秀次がアホすぎる、いかん。あんな脳なしではない、ぞと。

乳兄弟の池田恒興役がはまり役、台詞「知らねぇのかい?俺ははっきりした返事をしない男でね」。
寧々役の中谷美紀の無駄遣い、宴会の踊りははじけていたなぁ。
なんにせよキャストが豪華過ぎて調整が大変だったろう。
エンドクレジットがあいうえお順なのは、大物が多かったから?

それにしても信長の口癖だと言わる「であるか」があったのはいいね。
もちろん創作なのだろうけど。

「八日目の蝉」

八日目の蝉
監督 成島出
脚本 奥寺佐渡子
原作 角田光代
製作総指揮 佐藤直樹
出演者 井上真央
永作博美

あらすじ
不倫相手の家庭から赤ちゃんを連れ去り、実の子として育てる物語です。

鑑賞後の感想
「そして、父になる」を父親の視点からの描写が多いことに比べると、こちらは母性の象徴とも言えるようなシーンが多く登場しました。

多感な時期である幼児期を養母と過ごしたので、実母としっくりこないという難しい心理描写を演技で見せるのは本当にすごいことだと思います。と、同時に子供って自分のせいだって思いがちである、ということにも気づき、ドギリとしました。

登場する男性が総じてクズが多く、嫌な気持ちになりましたが、母性の相対的に持ち上げる意味合いが強すぎだったのかなとも思いました。特に、田中哲司さんの役。

タイトルの「八日目の蝉」は、おそらく普通じゃない育ち方をして、他の人では見えなかったものが見えたり、経験できなかったことを経験した、という意味なのかな、と感じましたが、どうなんでしょうね。

過去の回想と現代がパラレルに進むので、途中で混乱してました。あれ?いまどっち?みたいな。
特に後半の、永作博美さんからすると幸せな生活が終わりを告げる結末を知っている身としては、本当に続きを見るのが辛かったです。
(でも、ランドセルを見る目つきから察すると、戸籍のない娘がどのようなことになるかは知っている、と連想できるような気がします)

そして、永作博美最強説について。
誘拐といつ犯罪であるという意識を常に持ちつつ、幸せな子育てを送りたい、という、いわば造反した感情を込めた演技で最高でした。外向きの顔つきと娘に対する顔つきが全然違うもんねー。

『インスタント沼』

鑑賞のきっかけ
麻生久美子強化月間なのです。

鑑賞後の感想
もうオープニングから麻生久美子さんの魅力満載でした。
オープニングは麻生久美子節が炸裂していて

大人の可愛さとハイテンションな無茶ぶり、そして「まぬけ」な感じ。
「究極超人あ~る」が好きな人は絶対にはまると思います。

監督・キャスティングとも時効警察とかなりかぶっているので
そちらが好きな方は楽しめること請け合いです。

ストーリーよりもキャラクタの強さに惹かれる映画と言ってよいと思います。
根からの悪人も善人もおらず、みな少しずつ抜けていて愛すべきキャラクタが織りなす人間関係が心地よいです。

スプーン10杯 のミロ。 12ccの牛乳でかき混ぜれば出来るぞ。
シオシオミロ!

『舟を編む』

舟を編む
監督
石井裕也
脚本
渡辺謙作
原作
三浦しをん

出演者
松田龍平
宮崎あおい
オダギリジョー

音楽
渡邊崇
撮影
藤澤順一
編集
普嶋信一

『舟を編む』

鑑賞のきっかけ
ラジオ東京ポッド許可局の中でサンキュータツオさんが、「舟を編む」が大好きで、という
話をメモしていたため

あらすじ
言語学を専攻し大学院を修了した後に
出版社に勤める真締さんが12年かかって辞書を作ると言う話。
タイトルの由来は「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という意味から。

鑑賞後の感想
宮崎あおい最強説(そんなのあるのか?)を再確認した作品でした。
主人公のマジメくんこと真締さん(松田龍平)に筆で書かれたラブレターをもらい
読めないと不機嫌になるかぐや(宮崎あおい)から一転して、返事を聞かせてと
真剣な顔つきになり、そして観覧車のデレへ。
「手紙じゃなくて言葉で聞きたい」とは、どの世にもある人の本心であると、
かぐやの口から言わせるところがこの作品の一番いいところでした。

このかぐやは真締さんが下宿する大家さんの孫娘なのですが
登場シーンは満月をバックにしたもので、どう見ても竹取物語・・・
とても素敵な演出で何度も見てしまいました。

「辞書作りは言葉集めから始まる」
そういって主幹の先生と、ファーストフード店で女子高生が話している言葉を
集める作業(用例採集)は、地道でひたむきで真剣な作業でした。
このシーンを本気で笑う人とは自分はお友達になれないですね。

最初は辞書作りに対して出版社からも風当たりが強かったのですが
少しずつ協力者も増え、最終的には学生アルバイトたちも泊まり込みで
作業を手伝ってくれるなど、人間としての成長譚部分でも楽しめました。

クレジットに「麻生久美子」の文字があって
あれ?出演してたかなぁ?とググッたら、ポスターでの出演だったとは!

5点中5点です。

『人間の証明』

『人間の証明』

映画プロフィール
監督
佐藤純彌
脚本
松山善三
製作
角川春樹
吉田達
サイモン・ツェー

出演者
岡田茉莉子
松田優作
ジョージ・ケネディ

鑑賞のきっかけ
amazonプライムに入っていたリストのうち、タイトルは見たことあるけど
内容は知らないもの、の中に入っていたから。

鑑賞後の感想
戦後ってこんな風な個人の悲しい関係が多くあったのだろうか。
松本清張の小説にもよく出てくる、戦後の混乱期における女性の在り方がその後の人生に影を落とすパターンってとても多いような気がします。

それぞれに戦後の時期には知られたくない過去がありました。
ファッションデザイナーの八杉恭子(岡田茉莉子)は、戦後米兵相手にバーのホステスをしており、 ジョニー・ヘイワード(ジョー山中)を産むものの、米兵にレイプされるなどの過去があります。その後、恭平(岩城滉一)を生み、デザイナーにとして成功していきます。
一方刑事の棟居(松田優作)は、父親を米兵になぶり殺されたという過去がありましたが、その時の加害者が ケン・シュフタン(ジョージ・ケネディ)でした。そして父親が助けようとしたのが八杉恭子です。
つまり棟居からすると、ジョニー殺しの捜査とは父親が殺されるきっかけとなった女性を被疑者にし、父親を殺した相手と協力して捜査をしないといけないということでした。

この映画って当時アメリカで撮影したとか鳴り物入りだったり、「西條八十」や「ストウハ」「キスミー」など色んな作品にパロディされるなど、影響力の大きい映画だということは重々知っているんだけど、なんだろう全体に漂うこのチープ感は。
思うに、撮影当時すごい、と言われていたものが技術の進歩でかすんでしまうものばかりだったんじゃないかなと思うのです。
そして、残ったのは作品を通して伝わる「人間の業」と松田優作の鬼気迫る演技だったのではないでしょうか。
「人間の業」とは、結局どんな時代でも、どんなことをしても人間は生きていくしかないし、生きていくためには何でもしないといけない。でも、その時やったことは結局後から自分に返ってきてしまうのだ、ということ。
「贖罪」に似たような、それでいて救われない感覚なのではないでしょうか。

こんな重いテーマなのに興行的に当たったというのもすごい時代だよなあ。

映画公開当時のコピー
「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね?」