『アルスラーン戦記「王都炎上」』

王都炎上
田中芳樹

読後の感想
最初に読んだのは確か中学生の頃だったと思いますが、今読んでも勧善懲悪、ご都合主義の文章には心酔できます(誉めてます)。
ある意味水戸黄門

それにしても完結していないとは思いもよりませんでした。

遅筆にもほどがあります。

浅くて薄い欧州知識を身につけたい方、もしくは水戸黄門のような予定調和が好きな方なら是非。

印象的なくだり
欲が深く、視野のせまい者はそういう。しかも、その種の人物が、つねに多数をしめ、つよい勢力をもつのが、世のつねである(P.171)。

タハミーネの沈黙が意味するものを、ルシタニア国王は理解できなかった。否定であるのか肯定であるのか、それとも何かを待っているのか。イノケンティス七世にはわからなかった。彼はそれまで単純な世界に生きてきた単純な男だった。善と悪は、夏の昼と冬の夜とのように歴然とわかたれていた。それによってはかりえぬるものもあるのだ、ということを、すでに若いとはいえぬ王は、漠然と感じとるようになっていた(P.215)。