不動産取引と認知症

先日、全日本不動産関東流通センターが行なっている第2回流通関連セミナーに参加してきました。
今回のテーマは『不動産取引と認知症』。ケアコンサルタントと司法書士の先生がそれぞれ講演を行い、認知症の症状と契約に与える影響について研修してきました。

総務省の統計によると、平成23年8月1日現在で、全人口における65歳以上の割合は23.2%、つまり4人に1人が65歳以上なわけです。さらに、その65歳以上のうち約10%(つまり全人口の約2.3%)が認知症の疑い有りということで、もはや今後避けて通れないと思われます(ちなみに普通に考えてこの割合は増えていくでしょうなぁ)。

確かに、僕が最近立ち会った契約などでは当事者の方は全員65歳以上で、一番の高齢の方は94歳でした。幸いにも矍鑠とした方ばかりでしたが、いつもこのように行くとは限りません。むしろこれから先は判断能力や事理弁識能力に疑念が残る方が多くなる傾向にあると思います。
仮に判断能力に問題のある方と、契約を交わした場合、場合によっては意思能力がないという理由で無効になってしまうことも考えられます。詳細は各自勉強してもらうことにして、個人的に研修を受けて「おお!」と思った点をいくばくか(順不同)。

・認知症の症状を分けて分析するということ。
1.記憶力障害
新しいことを覚えたり(記銘力)、記憶を保持したり(記憶保持力)、覚えたことを想起したり(想起力)する力。
2.見当識障害
時間、場所、人物それぞれに対する障害に分類する。例えば、年齢・今日は何月何日?何曜日?いまどこにいる?目の前にいる人は誰?
そして、加齢に伴う能力の低下と、認知症に基づく能力の低下は厳密に線引きは出来ないが、2.の見当識障害までくると流石にちょっと不動産の取引はできないですね。

・認知症の初期症状で受診する人は全体のおよそ3割。初期症状なら薬物療法で進行の予防が可能だけど、症状が進行してしまうと手が付けられない。

・グループホームって高いね…入居一時金3000万円、月額27万円とかね。

余談だけどこのホーム。一時金はいきなり償却されるらしく実質的は入居には450万円ということかな。

・司法書士のセンセイによると、今まで住んでいた家を売却する→でも認知症進んでいる→成年後見人が必要ですと不動産業者や司法書士に言われる→居住用財産を売るため(だけ)に家族や息子が一旦成年後見人として家庭裁判所の許可を受けて売却(民859の3)→無事売却できた→でも成年後見人の財産管理義務は被後見人が亡くなるまで続く→「きいてないよ~」と苦情、が多いらしい。

・本人の貯金がたくさんあったら、必要性がないという理由で、居住用不動産の売却許可が家庭裁判所から下りないことがあるらしい。

・座った席は前から二番目。ばっちり聞けました。隣に座ったおじさんが超爆睡。90分のうち70分は寝ていたと思います。しかも、講演が終わった後の拍手は人一倍大きかったです(思わず心の中で「あんた、ずっと寝てたジャン」と突っ込みました

・平成24年10月18日からレインズ新しくなるらしいよ(興味なし

式次第
認知症の基礎知識と接し方~初期症状で気づき、対応するために~
講師 川上由里子 ケアコンサルタント

これからの不動産実務に必須!
「高齢者との不動産取引」重要ポイント徹底解説
講師 千野隆二 司法書士